収益等の状況について
本市公営宿泊施設(以下「本施設」という。)は,平成27年度から5年連続で収益的収支比率が100%を超えており,単年度の収支では黒字が続いている。一方で,ここ数年は定員稼働率が下がり続けており,特に令和元年度においては,新型コロナウイルス感染症の影響による利用客の大幅な減少もあって,定員稼働率及びEBITDAは大きく落ち込んだ。他会計補助金比率が令和元年度に急激に下降したのは,平成7年度の本施設改築等により陥った資金不足を解消するために実施している一般会計からの繰入金のうち令和元年度分について,令和元年度に資金不足比率が経営健全化基準の20%を下回る見込みであったことから,令和6年度までの6年間に平準化したからである。今後の本施設の収益等における取組としては,新型コロナウイルス感染症の収束状況を見極めながら,国のGoToトラベルキャンペーン等と連動した宿泊プランの開発や,顧客にインセンティブを与えるような情報発信等を行っていく必要がある。併せて,類似団体と比較して数値の高い売上高人件費比率についても,適切に抑制していく必要がある。
資産等の状況について
本施設の建物部分については,平成7年度に実施した改築に係る起債償還は平成26年度に完了しているものの,改築後20年以上が経過しており,施設内部の各設備機器については劣化の進んでいるものも多く,特別会計で一定の改修費を見込んだうえで緊急度及び重要度の高い箇所について計画的に順次改修していく。利用客数増や稼働率の上昇を図るためには,顧客ニーズの高い客室の洋室化やレストラン部分の改築等についても検討する必要があるが,これらの改修については多額の費用が必要であり,新型コロナウイルス感染症の影響による利用客数の減少もあることから,原資の確保や費用対効果を検証し,慎重に検討する必要がある。
利用の状況について
本施設はここ数年利用客数の減少続いているが,令和元年度においては夏期の台風や天候不良による団体利用のキャンセルや,新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の大幅な減少によって,年間の利用者数は大きく落ち込んだ。併せて,定員稼働率やEBITDAについても,前年よりもさらに悪化している。
全体総括
桂浜荘は本市を代表する景勝地である桂浜公園内にあり,桂浜,坂本龍馬像など,本市を代表する観光資源があることから,新型コロナウイルス感染症の収束後は再び一定の宿泊需要が見込まれる。ただし,平成7年の本施設改築の起債償還等を要因とする資金不足により,一般会計からの繰入で資金不足比率を経営健全化基準未満にしている途上である。継続的な運営には,資金不足に陥った要因を強く受け止め,十分な戦略を持って経営基盤の強化に取り組んでいく必要がある。また,令和6年度までの一般会計からの繰入が終了した後も,設備投資に必要な経費を独立採算で確保するための収入増を含めた経営改善を検討するとともに,事業の継続可否についても慎重に検討を行っていく。