経営の健全性・効率性について
本市では、過去に大規模な建設投資を実施したため企業債残高が多く、利子負担が損益収支を圧迫し、「企業債残高対事業規模比率」や「汚水処理原価」が、類似団体と比べ高くなっているが、本市独自のガイドラインを策定し、企業債の新規発行を適正な範囲に抑制するなど継続的な経営改善の取組により、近年、数値は改善傾向にある。また、料金改定や下水道の普及拡大、接続推進や消化ガス発電事業などの収入増加に繋がる取組や維持管理費等の縮減に努めた結果、平成27年度は損益収支が黒字化し、「経常収支比率」や「経費回収率」は改善した。なお、今後も損益収支の黒字が続き、「累積欠損金比率」の改善も見込まれる。次に、下水道の普及拡大を進めているため、「施設利用率」と「水洗化率」は類似団体と比べ低いが、晴天時の最大処理水量で見ると施設の最大稼働率は67%を超えている。水洗化率は上昇傾向にあるため、接続勧奨を継続的に実施する。「流動比率」については、平成25年度の数値が高くなっているが、これは、年度末の企業債償還日が休日で、償還が翌年度になったためである。また、平成26年度は、会計基準の見直しで、1年以内に償還する企業債等の元金償還金を流動負債に計上したため、数値は大幅に低下したが、平成27年度は、現金及び預金の増加により改善した。今後は、企業債残高の減少に加え、現金の増加も見込まれるため、引き続き改善傾向となることが見込まれる。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、平成初期に集中して整備を行ったため、類似都市と比べると「有形固定資産減価償却率」及び「管渠老朽化率」は低い。「管渠改善率」については、工事の繰越によって、年度間で更新管渠の延長に増減が生じているが、平均すると類似団体と同程度の数値となっている。
全体総括
本市では、過去の大規模な投資により企業債残高が増大し、利子負担額等の資本費が経営を圧迫する状況となっていたが、本市独自のガイドラインを策定し、企業債の新規発行を適正な範囲に抑制するなど、資本費や維持管理費を縮減するとともに、効率的な新規整備などによる増収に努めた結果、平成27年度は損益収支が黒字化し、今後も、経営状況は改善傾向となる見通しである。しかしながら、人口減少や施設の老朽化が進み、使用料収入の減少や改築更新需要の増大が見込まれるため、経営戦略に基づき、「資産・業務」「組織・人材」「財務」「広報」4つの視点で経営改善に取り組み、将来にわたって、安定的かつ持続的に事業運営が可能となるよう経営の効率化を進めていく。