経営の健全性・効率性について
・平成27年度から公共下水道事業に地方公営企業法を適用し、企業会計に移行した。平成27年度は企業会計に移行して初めての決算であり、そのため平成26年度以前の数値については、”-”となっている。また、「⑦施設利用率」も、終末処理場を保有していないため、”-”となっている。・「③流動比率」は全国平均・類似団体をともに大きく下回っている。これは、流動資産の現金が絶対的に少ないこと、流動負債の企業債償還金がかなり多いことが原因である。企業債の償還金については、平成31年度をピークに徐々に減ってはくるものの、目標となる100%に到達するには、相当の時間を要すると思われる。・「⑤経費回収率」については、100%を超えており、適正な使用料水準であるといえる。しかし、人口減少や節水機器の普及により、今後使用料収入が増加し続ける保証はなく、汚水処理費用のさらなる削減を図り、現行の水準を維持していく。・企業債の償還ピークは平成31年度であるため、償還額が減少する平成32年度以降は、各種指標は徐々に改善する見込みである。
老朽化の状況について
・本市は昭和40年代から本格的に建設事業を開始してきたが、整備予定区域が広範囲に及ぶため、いまだ新規整備の途中にある。・一方、事業開始当初に整備された下水道管渠が耐用年数(50年)を徐々に超え始めてきており、今後は管渠の維持管理・更新にも対応する必要がある。・平成27年度は合流幹線の管渠更生工事を実施しているが、年度内に完成しなかったため、「③管渠改善率」は”0”となっている。・管渠更新を実施しているものの、幹線管渠のわずかな部分の更新に留まっており、更新のスピードアップが必要である。・今後は、新規整備も進めながら、維持管理、ストックマネジメントによる更新を実施していき、現在低い状況に留まっている「③管渠改善率」を向上させていく必要がある。
全体総括
・過去に実施した大規模投資に伴う企業債の償還により、財務体質はかなり硬直化しており、平成31年度の企業債の償還のピークまで各種指標の改善は難しい状況にある。・本市下水道事業は、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上に取り組むため、また経営・資産状況の正確な把握、効率的な経営の実現に向け、平成27年4月1日から地方公営企業法を適用して企業会計に移行した。・平成27年度は移行後最初の決算であるため、指標の経年比較はできないが、特別会計時には算出できなかった各種指標を用いて、本市公共下水道事業の強み・弱みを把握し、経営改善につなげていく。