経営の健全性・効率性について
平成30年度は、地方公営企業法の全部を適用した初年度にあたり、経年比較ができません。①平成30年度の経常収支比率は101.66%で、処理区域内人口の増加により下水道使用料収入が増加しましたが、依然として低迷しており、一般会計繰入金に依存する状況が続いています。③流動化比率が類似団体より低いのは、流動資産では、年間を通じて最低限の現金しかなく、流動負債では過去に集中して多額の借金を行い事業を進めたことが原因です。④平成30年度の企業債残高対事業規模比率は、整備事業がおおむね完了したことから、企業債残高のピークは過ぎたものの、経営上の大きな負担となっています。⑤平成30年度の経費回収率は、使用料単価が安価であることから必要経費を使用料収入で賄えない状況が続いています。⑥汚水処理原価は流域下水道により汚水処理を効率的に行っていることから類似団体平均よりも安価な状況が続いています。⑦公共下水道事業は、本市単独で処理場を保有していないため、0%です。⑧平成30年度の水洗化率は96.75%で、平成26年度で整備事業がおおむね完了したことから、平均値よりも高い水準です。今後も水洗化促進に努めます。
老朽化の状況について
①企業会計導入初年度であるため、有形固定資産減価償却率は、減価償却実積がなく、低い数値となっています。②本市では昭和54年に事業を開始し、整備した管渠は新しいものが多く、法定耐用年数を経過した管路はないため、低い数値となっています。③平成28年度から老朽管の改築・更新に取り組んでいます。今後もストックマネジメントに基づき管渠等の改築・更新に取り組んでいきます。
全体総括
平成30年度の経費回収率が80.42%と汚水処理費用を下水道利用者からの使用料収入で賄えていない赤字経営の状況にあり、その収支不足を公費(一般会計繰入金)で補てんする状況が続いています。前年度と比較し企業債残高対事業規模比率は繰出基準の精査により悪化し、類似団体平均値より高い数値となっており、経営上の大きな課題となっています。今後は、管渠等施設の更新に伴う投資が増加する一方で、使用料収入の減少が懸念され、経営はより一層厳しさを増すことが予想されます。安定かつ継続的に下水道サービスを提供するため、収益構造の見直しなど早期の経営改善が必要となっていることから、今年度から上下水道事業経営審議会で下水道ビジョン・経営戦略の策定と上下水道事業経営のあり方を審議いただき、令和2年に策定する予定です。使用料金は、汚水処理費を賄えるような使用料金改定を行い、経費回収率100%を目指します。