経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は,平成27年度は平成26年度以前と比較し,改善が見られたが,これは地方債償還金が減となったことによるものである。使用料収入が大きく増加したためではないことから依然として収支比率が100%を下回っており,使用料収入だけで維持管理費等を賄えていないため,抜本的な経営改善を図っていく必要がある。企業債残高対事業規模比率は,平成26年度以前と比較すると減少傾向にあるが,依然として全国平均の4倍近く高い比率となっている。経費回収率26.58%は,汚水処理費の減に伴い上昇したが,全国平均と比較すると依然として低く,汚水処理に係る経費を使用料で賄えていない状況にある。平成27年度の汚水処理原価は,平成26年度以前と比較すると安価となったが,全国平均と比較すると2倍程度の額である。将来的に使用料収入の大きな増収を見込めない場合は,経費回収率を改善させるため,より適切な処理方法を検討することで,汚水処理経費を削減することが必要である。施設利用率は全国平均並であるが,施設処理能力の半分程度しか利用できていないため,施設能力が過大である場合は,計画処理能力や耐用年数を踏まえ,近隣施設との統廃合等も検討する必要がある。水洗化率は,平成27年度90.43%と全国平均を上回っているが,公共用水域の水質保全や使用料収入の増収の観点から引き続き水洗化率の向上を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
施設の供用開始後10年以上が経過しており,老朽化が進んでいるが,施設の詳細な状態を把握できていない。そのため,施設の機能診断を実施し,この結果を踏まえ,更新や改修等を実施していく必要がある。なお,施設の機能診断は平成29年度に実施予定である。
全体総括
使用料金だけでは必要な維持管理費を賄えていない状況にある中で,水洗化率は90%程度となっているため,今後,大きな使用料の増収は見込めない状況にある。汚水処理施設の能力が過大である場合は,施設規模の縮小や近隣施設との統廃合を検討し,汚水処理費を削減する必要がある。併せて,施設の詳細な状況の把握と,老朽化した施設の更新や改修等を実施し,施設の適切な維持管理を図っていく必要がある。