経営の健全性・効率性について
平成29年4月に料金改定を行ったことにより、本市の下水道事業は、①収益的収支比率及び⑤経費回収率が前年度に比べ大きく増加しました。しかしながら、未だ100%を下回り、単年度の収支が赤字で使用料水準が低い状況が続いています。これらの状況は使用料収入で汚水処理費を賄えず一般会計繰入金に依存していることを示しています。④企業債残高は、本市では企業債残高が年々減少しており平均値を下回っている状況です。この要因は市街化区域の整備が完了し、すでに償還ピークが過ぎているためです。今後10年間の下水道計画による概算事業費に伴う借入分を考慮しても償還費は減少する見込みです。⑥汚水処理原価は、有収水量1㎥あたりの汚水を処理するのにどのくらいの経費がかかったのかを示すものです。本市は平均値を上回っている状況が続いています。この要因は、企業債償還費によるものですが償還ピークが過ぎているため年々減少し改善が見込まれます。⑧水洗化率は、処理区域内人口のうち実際に水洗便所を設置して汚水処理しているものの割合で平均値を大きく上回っています。これは市街化区域の整備が完了して10年以上経過していることが要因であると言えます。今後も100%を目指し下水道接続の促進活動に努めます。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、本市の下水道事業は、昭和46年8月に二村台地区の供用開始を皮切りに順次拡大し、認可区域である707haすべてを供用開始しています。供用開始から既に40年以上を経過している二村台地区においては、長寿命化計画によりマンホール蓋の取替えや古い汚水管を更新する工事を順次行っています。さらに重要な路線等の管渠耐震調査をしながら管渠の補強工事を進めています。今後も計画に沿って事業費の平準化・効率化を図りながら実施します。
全体総括
下水道事業における汚水処理費は、下水道使用者の使用料収入で賄うものですが、本市においては汚水処理費を使用料収入で賄うことができず一般会計繰入金に依存している状況が続いています。平成29年4月に料金改定を行い、使用料収入は増加しましたが、使用料のみで賄える程には至っていません。引き続き既存施設を適切に管理しつつ、農村集落家庭排水施設の統合、よりよい生活環境を提供するために未整備区域への管渠整備を行い使用料の更なる増収を見込んでいます。平成32年度までに求められている経営戦略策定は、既存経営計画の財政シミュレーションの諸数値を反映させ平成32年度までに公開します。下水道事業は平成32年4月から企業会計となり経営健全化に向けスタートします。5年間の使用料算定期間の満了を見据え、経営・財務状況を十分に把握し使用料改定の必要性を判断していきます。