経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業は、①収益的収支比率及び⑤経費回収率が100%を下回り、単年度の収支が赤字であり、使用料水準が低い状況が続いています。これらの状況は使用料収入で汚水処理費を賄えず一般会計繰入金に依存していることを示しています。この要因は、人件費の削減やコスト縮減を図ったものの事業を賄う使用料を平成21年度の改定から据え置いているためです。今後の収支状況を見据え、使用者負担の原則や一般会計への負担軽減を図るために使用料改定に向けた取組を行いました。⑥汚水処理原価は、1㎥の汚水を処理するのにどのくらいの経費がかかるのかを示すものです。類似団体と比較して上回っています。汚水処理原価を引き上げている要因は、過年度に借入れた地方債償還費によるものですが、平成27年度をピークに償還費が減少していくため今後は改善が見込まれます。⑧水洗化率は、処理区域内人口のうち実際に水洗便所を設置して汚水処理しているものの割合です。類似団体を大きく上回っていますが、これは市街化区域の整備が完了して10年経過していることが要因であると言えます。今後も100%を目指し下水道接続の促進活動に努めていきます。
老朽化の状況について
昭和46年8月に二村台地区の供用開始を皮切りに順次拡大し、認可区域である707haすべてを供用開始しています。供用開始から既に40年以上を経過している二村台地区においては、長寿命化計画によるマンホール蓋の取替や管渠更生工事を始めています。また、すでに重要な路線等の管渠耐震補強の調査・設計を行っており、順次、管渠更生工事など地震対策事業を進めます。
全体総括
下水道事業における汚水処理費は、下水道使用者の使用料収入で賄うものですが、本市においては汚水処理費を使用料収入で賄うことができず一般会計繰入金に依存している状況です。このまま多額の繰り入れを続けていくことは、福祉や教育など行政サービスに影響を及ぼすことになります。今後、老朽化した管渠の更新を進めるとともに、耐震補強工事及び農村集落家庭排水施設の公共下水道への統合など事業への投資を必要としています。これを踏まえて、平成29年度に使用料改定を行いますが、農村集落家庭排水施設の公共下水道への統合や未整備区域への拡大による使用料収入増を見込んでいます。重要なライフラインである下水道事業の経営の健全化に向け経営戦略の策定、検証、見直しを行っていきます。