経営の健全性・効率性について
会計処理の見直しに伴い、企業債償還金に対する他会計繰入金長期前受金の収益化を行ったことや、未償還残高減等による企業債支払利息の減少等により、①経常収支比率は大幅に改善し、⑥汚水処理原価は大幅減となりました。また、⑤経費回収率の算定基礎となる⑥汚水処理原価の大幅減に伴い、⑤経費回収率も大幅に改善しました。しかし、施設老朽化による施設更新費用や定期点検費用の増加傾向が続いている影響により、今後①経常収支比率が減少し、⑥汚水処理原価が増加していくことが予想されます。⑦施設利用率は60%程度で推移しており、現在は処理能力が過大となっていますが、今後の施設更新時に見直しを検討していく予定です。会計処理の見直しに伴い、企業債償還金に対する他会計繰入金長期前受金の収益化を行ったことにより、欠損金は利益剰余金に転じ、②累積欠損金比率は0となりましたが、本市では、市街化区域内の下水道整備が既に終了しているため⑧水洗化率の上昇は期待できず、また、人口減少社会の到来もあるため、今後下水道使用料の大幅な自然増は期待できない状況となっています。下水道事業の経営に当たり、一般会計から国の繰出基準額以上の繰入を受けてはいますが、この先、一般会計からの繰入額の増加は見込めず、前述した要因等もあるため、今後も経営状況を注視し、必要に応じて、収益の多くを占める下水道使用料の改定や、効率化による経費節減等の検討を進めていきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は資産全体で約52%、資産の種類によってはより高い償却率となっており、老朽化が顕著となっています。管渠施設については、現時点で耐用年数を超過する施設はないものの、昭和50年代後半から平成10年頃にかけて、施設整備を急速に進めたため、今後、施設老朽化が加速度的に進み、施設更新費用や施設修繕費が増加する見込みとなっています。このため、平成30年度末に策定したストックマネジメント計画を基に、施設の効率的な修繕を進めるとともに、国庫補助金や企業債を有効活用した資金計画との整合を図りながら、施設整備に取り組んでいきます。
全体総括
昭和45年度から下水道事業を進めているため更新時期を迎えている下水道施設が多く、維持管理費用やその資金調達、更新手法等が現在直面している大きな課題となっています。会計処理の見直しにより累積欠損金は解消し、黒字経営となりましたが、市の財政状況も切迫しており、一般会計からの長期的かつ安定した十分な繰入金は期待できず、厳しい事業経営を迫られています。そのため、今後も経営状況を注視し、必要に応じて使用料の見直しの検討や、更なる経費削減として汚泥処理の共同化を進めるとともに、令和元年度末策定予定の下水道事業経営戦略を基に、事業の健全化、効率化に取り組んでいきます。