経営の健全性・効率性について
下水道使用料の改定及び有収水量微増による下水道使用料の増加や浄化センターの包括運転管理委託継続、未償還残高減による企業債支払利息の減少、その他の経費節減等により⑥汚水処理原価は微減となり、①経常収支比率は改善されつつあります。しかし、施設老朽化による施設更新費用や定期点検費用の増加傾向が続いている影響により①経常収支比率は100%を下回っており、⑥汚水処理原価も増加していくことが予想されます。⑦施設利用率は60%程度で推移しており、現在は処理能力が過大となっていますが、今後の施設更新時に見直しを検討していく予定です。平成29年6月から下水道使用料を改定したことにより、②累積欠損金比率や⑤経費回収率は前年度に比べ改善しましたが、本市では、市街化区域内の下水道整備が既に終了しており、人口減少社会の到来もあるため⑧水洗化率は高止まり傾向が続き、今後、下水道使用料の大幅な自然増は期待できない状況となっています。下水道事業の経営にあたり、一般会計から国の繰出基準額以上の繰入を受けてはいますが、前述した要因等により、当面、経営状況の大幅な改善は見込めず、収益の多くを占める下水道使用料の定期的な改定や、効率化による経費節減等の検討を進めていきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は資産全体で約50%、資産の種類によってはより高い償却率となっており、老朽化が顕著となっています。管渠施設については、現時点で耐用年数を超過する施設はないものの、昭和50年代後半から平成10年ごろにかけて、施設整備を急速に進めたため、今後、施設老朽化が加速度的に進み、施設更新費用や施設修繕費が増加する見込みとなっています。このため、30年度末にストックマネジメント計画の策定を予定しており、施設の効率的な修繕を進めるとともに、国庫補助金や企業債を有効活用した資金計画との整合を図りながら、施設整備に取り組んでいきます。
全体総括
昭和45年度から下水道事業を進めているため更新時期を迎えている下水道施設が多く、維持管理費用やその資金調達、更新手法等が現在直面している大きな課題となっています。しかし、市の財政状況も切迫しており、一般会計からの長期的かつ安定した十分な繰入金は期待できず、厳しい事業経営を迫られています。収入確保を図るため、6年間据え置いていた下水道使用料を平成29年6月から改定しましたが、今後も定期的な使用料の見直しや、更なる経費削減として下水道施設の統廃合、汚泥処理の共同化を進めるとともに、31年度末までに下水道事業経営戦略を策定する予定であり、事業の健全化、効率化に取り組んでいきます。