経営の健全性・効率性について
有収水量微増による下水道使用料の増加や浄化センターの包括運転管理委託導入、未償還残高減による企業債支払利息の減少、その他の経費節減等により①経常収支比率は改善されつつあります。しかし、施設老朽化が進んでいるため、施設更新費用や定期点検費用の増加が影響し⑥汚水処理原価が上昇しており、結果として⑤経費回収率が低下しています。⑦施設利用率は55~60%で推移しており、現在は処理能力が過大となっていますが、今後の施設更新時に見直しを検討していく予定です。本市では、市街化区域内の下水道整備が終了しているうえに、人口減少社会の到来もあり、⑧水洗化率は高止まり傾向が続き、今後、下水道使用料の大幅な自然増は期待できない状況となっています。下水道事業経営にあたり、一般会計から国の繰出基準額以上の繰入を受けてはいますが、前述した要因等により、当面、単年度欠損金が生ずる見込みのため、収益の多くを占める下水道使用料の定期的な改定や、効率化による経費節減の検討を進めていきます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は資産全体で約48%、比較的耐用年数の短い機械装置においては約77%と、資産の種類によっては老朽化が顕著となっており、長寿命化計画を策定し施設延命に取組んでいます。管渠施設には耐用年数を超過する施設はないものの、昭和50年代後半から平成10年頃にかけて、積極的に施設整備を進めたため、今後20~30年後にかけて老朽化が急速に進み、施設修繕費や更新費用が増加する見込みとなっています。このため、長期的かつ効率的な修繕改修計画を策定し、国庫補助金や企業債を有効活用した資金計画との整合を図りながら、施設整備に取り組んでいきます。
全体総括
昭和45年度から下水道事業を進めているため更新時期を迎えている下水道施設が多く、維持管理費用やその資金調達、更新手法等が現在直面している大きな課題となっています。しかし、市の財政状況も切迫しており、一般会計からの長期的かつ安定した十分な繰入金は期待できず、厳しい事業経営を迫られています。こうした中、6年間据え置いていた下水道使用料を平成29年6月から改定するほか、下水道施設の統廃合、汚泥処理の共同化による経費削減や経営戦略の策定など、下水道事業の健全化、効率化に取り組んでいきます。