経営の健全性・効率性について
①単年度の収支については、維持管理や支払利息等の費用を料金収入や一般会計からの繰入金等の収益で6~7割程度しか賄えておらず、維持管理費の削減や使用料収入の増加といった経営改善に向けた取り組みが必要である。④企業債残高対事業規模比率が類似団体平均の約1.6倍と高いのは、平成22年度から26年度までの間、今後の処理区拡大に備えて浄化センターの処理能力を向上させる必要があったため、浄化センターへの投資を図ったことが主な要因である。その投資規模に対して、料金水準が低いことを示しているため、経営改善が必要である。⑤経費回収率は、類似団体平均の約7割と大幅に低く、料金水準の適正化が必要である。⑥汚水処理原価は、類似団体平均より高く、更なる効率的な汚水処理が必要である。⑦施設利用率は、類似団体平均とほぼ同程度であり、やや改善傾向にある。今後の処理区域拡大に伴う水洗化人口の増加により、更に浄化センターの効率性の向上が見込まれる。⑧水洗化率は、類似団体平均より低く、向上の取り組みが必要である。
老朽化の状況について
③管渠改善については、現状、維持管理上支障となる箇所の修繕程度である。今後50年を経過する管渠について、計画的に更新する必要があるが、それを担保するためには、安定的な財源である使用料収入の確保が課題となる。
全体総括
収支ギャップの解消、経営の健全化のためには、将来世代の地方債償還金の負担の増大を考慮し、下水道クイックプロジェクト技術の導入等さらなるコスト縮減策を検討し、事業費の圧縮と平準化を図りながら、計画的に処理区域拡大を行い、施設の老朽化等対策も適切な時期に行うことができるよう、市全体の公共施設マネジメント基本方針に従いながら、効率的な更新を行っていく。また、安定的な収入確保については、使用料水準の適正化及び水洗化率向上が不可欠である。そのためには、経営情報の積極的な開示等、住民理解の促進を図る取組を積極的に進める必要があり、平成32年度からの公営企業法の適用を予定している。経営の健全性を確保するために、人口や施設稼働率等の動向を踏まえ、処理区域の見直し、浄化センターの統廃合、処理能力の縮小などの検討を今後行っていく。