経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率44%程度と低い要因については、経営規模に対し企業債の規模が大きく元利償還金が収益を圧迫している状況です。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体と比較し上回っています。ただし、企業債残高の減少を進めていることにより、今後、比率は下降していくと考えます。⑤経費回収率は、類似団体とほぼ同水準となっていますが、使用料で回収すべき経費を賄えていません。要因に企業債規模の大きさも挙げられますが、その他の汚水処理費の適切な削減や適正な使用料の検討も必要です。⑥汚水処理原価は、類似団体とほぼ同水準となっていますが、老朽化した施設の修繕やメンテナンス、管渠補修等により増加するため、効率的な修繕の実施や使用料の適正化が課題となります。⑦施設利用率は、今後の未普及整備を考慮すると、類似団体より若干低いものの利用率60%程度の推移は妥当な処理場規模と考えます。⑧水洗化率は、新たな管渠整備により処理区域内人口が微増しているため、接続促進を継続し、水質保全や使用料収入増を図ります。
老朽化の状況について
③管渠改善率については、平成26年度より管路長寿命化事業として老朽化した下水道管の更生工事を行っています。下水道管の老朽化は年々進んでおり、今後も長寿命化計画に基づき、危険度判定や管路改築・更生工事を行い、管路の延命を図ります。
全体総括
当市の公共下水道の整備状況は、全体計画に対し整備率65%程度と整備段階ですが、管渠整備開始から50年、施設供用開始から30年を経過したことから未普及整備と並行し、今後は施設老朽化に伴う改築・更新を含めた維持管理に多額の費用が見込まれます。それに加え、人口減少や節水意識の定着、節水機器の普及により下水道使用料収入の大幅な増加は見込めず、さらに経営状況は厳しくなることが予測されます。今後も市民の皆様に安定的なサービスの提供を確保するために、運営体制や今後の投資のあり方、適正な使用料の見直し等の検討が必要となります。経営戦略の策定、地方公営企業法の適用により持続可能な下水道事業の安定経営を目指します。