経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が100%を上回っており、②累積欠損金比率が0%であることから一見収益で費用を賄えているようだが、⑤経費回収率が低い数値で推移してることを考えると、使用料収入では費用を賄いきれず、一般会計からの補助金を繰入れることで収支の均衡を図っている状態である。⑥汚水処理原価も443.12円で類似団体平均、全国平均と比較しても高い数値となっていることから、坂井市の農業集落排水事業が丸岡町竹田地区で、人口規模が僅少であるという地理的要因等の構造上、汚水処理費用が高くなることが要因と考えられる。③流動比率については100%を超えており短期債務に対する支払能力は十分に確保されているといえる。④企業債残高対事業規模比率が類似団体平均、全国平均より高い数値ではあるが、近年借入は行っておらず企業債残高は年々減少している。⑦施設使用率は低い数値となっているが、平成27年度の一日最大処理水量209㎥、一日最大処理能力373㎥で最大稼働率は56.03%となっており、平成26年度の最大稼働率73.72%を考えても遊休状態にあるとは言えない状況である。⑧水洗化率は類似団体平均より高く、全国平均と比較してもほぼ同数値となっている。地理的要因等から人口増加は期待できず、水洗化率向上も厳しい状況の中、今後も引き続き接続推進に努めていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は41.03%となっており、類似団体平均、全国平均と比較しても高い数値となっている。②管渠老朽化率③管渠改善率とも0%となっており、法定耐用年数を経過した管渠はないことから、処理場施設(主に機械及び装置)の老朽化が進んでいることがわかる。平成28、29年度にかけて老朽化した機械装置の更新を行う予定であり、今後も処理場施設、管渠含めて計画的な更新が必要である。
全体総括
坂井市の農業集落排水事業は規模が小さいため汚水処理原価が高く、必要経費を使用料のみで賄うのは厳しく一般会計からの補助金で経営を保っていると言わざるを得ない。地理的要因から公共下水道への接続も難しい上に、公共下水道との均衡性を保つため使用料改定を農業集落排水事業のみで行うのも難しいのが現状である。処理施設の下流には県水道用水供給事業の取水口があり、建設当初より当事業は政策的意味合いが強く、使用料収入で不足する経費は一般会計が賄うとされているため、今後もこのような経営状態が続くと思われる。年々、処理施設、管渠の老朽化が進む中で、公共下水道と併せて使用料の改定も視野に入れ、財政計画・投資計画の見直しを行い安定的な健全経営を目指していく。