経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」は100%を超えていますが、「⑤経費回収率」を見ると75.72%と本来、使用料で回収すべき経費で全て賄えていない状況です。使用料水準の適正化とともに経費削減を行い、経費回収率の改善を図る必要があります。「③流動比率」は年々増加していますが、依然として類似団体平均値との差が大きいです。これは保有現金に対して企業債等の支払額が高いためです。「④企業債残高対事業規模比率」は、債務償還が進んだことで前年度に比べ減少しているものの、いまだ類似団体平均値を上回っており、1990年代における集中投資の企業債が現在の財政負担として影響を与えています。「⑥汚水処理原価」は横ばいで推移しており、「⑦施設利用率」は該当施設がないことから計上がありません。「⑧水洗化率」は微増で類似団体平均値よりも高い数値です。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」は平成27年度が法適用の初年度であり、現時点での減価償却累計額は低いが年々増加しています。「②管渠老朽化率」は法定耐用年数(50年)を経過したものがないことから0%です。「③管渠改善率」は管渠の修繕があったため、類似団体よりも数値が高くなっています。耐用年数を経過した管渠はありませんが今後を見据えて老朽化対策が必要となります。
全体総括
過去の建設投資により、現在の元利償還に対する負担が大きいですが、償還が進むことで企業債残高も減少傾向となるため、財政状況は健全な方向で推移することが見込まれます。しかしながら、近い将来、人口減少や節水意識等による使用料収入の減少、過去に建設した管渠が耐用年数を迎えるのに備え、管渠等の老朽化対策(長寿命化、耐震化)を行っていくことにより、更新費の増加が見込まれます。下水道事業を安定的に運営していくために経費回収率の向上や管渠の計画的な老朽化対策を行うことで事業の健全化、効率化に取り組んでまいります。