経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超えており、累積欠損金比率も0%であることから、単年の経常損益において事業に必要な費用を経常的な収益で賄えている状況を示しています。流動比率は前年度に比べ改善していますが、類似団体平均値との差が大きく、これは保有現金に対し企業債等の支払額が高いためです。企業債残高対事業規模比率は、債務償還が進んだことで前年度に比し減少しているものの、いまだ類似団体平均値を上回っており、1990年代における集中投資の企業債が現在の財政負担として影響を与えています。経費回収率については、前年度から微増となっているものの類似団体平均値より低く、適正な使用料確保に努めていく必要があります。なお、汚水処理原価は横ばいで推移しており、施設利用率は該当施設が無いことから、比率は計上がありません。水洗化率は類似団体平均値よりも高い数値を示しています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、平成27年度が法適用の初年度であることから、現時点での減価償却累計額は低く、類似団体平均値よりも下回っています。管渠について、法定耐用年数(50年)を経過したものがないことから管渠老朽化率は比率0であり、また、管渠改善率は類似団体平均値を下回っています。
全体総括
過去の集中的な建設投資により現在の元利償還に対する負担も大きいといえますが、今後は償還が進むことで企業債残高も減少傾向となるため、各指標は健全な方向で推移すると見込まれます。しかしながら、人口減少や節水意識の向上などによる使用料収入の減少や管渠等の老朽化対策(長寿命化や耐震化等)、更新費の増加など、中長期にわたる資金需要が見込まれます。下水道事業を安定的に継続するために、将来的な施設管理手法を検討し更新需要を適切に見込んだ上で、効率的な事業展開を図るべく、経費節減や収益向上等の施策を踏まえた経営計画を検討し着実な事業運営を行ってまいります。