経営の健全性・効率性について
経常収支比率100%以上、累積欠損比率0%を確保し、水洗化率も類似団体平均値より高くなっています。しかし、平成23年度から、経常収支比率は低迷し、流動比率が減少傾向であり、資金が減少する様子が顕著に表れていました。そのため、平成26年10月に下水道使用料を改定し、事業資金を確保しています。ただし、維持管理費のうち、委託料や動力費などは、増加傾向にあり、また、修繕費は、施設の老朽化が進んでいることから、今後増加することが予測されるため、依然として経営状況は、厳しいものであるといえます。また、人口減少や工場の撤退などにより、晴天時一日平均処理水量が減少し、近年、施設利用率は、下がる傾向にあります。浄化センターの配置や処理能力を見直し、適切な規模にする必要があります。さらに、汚水処理原価が類似団体平均値より高くなっているのは、山間部や丘陵部が中央にあるという本市の地理的特性から、ポンプ場及び浄化センターの数が多く、維持管理費や減価償却費が掛かることが要因となっています。なお、平成26年10月に下水道使用料を改定したにも関わらず、平成26年度の流動比率が減少しているのは、新会計制度適用の影響によるものです。
老朽化の状況について
近年、管渠老朽化率は、低いまま推移していますが、今後、高度経済成長期に整備した管渠が更新時期を迎えるため、高くなるものと予測できます。管渠の更新には、多額の費用と長い時間を要するため、超長期的な視点に立って、更新費用の低減化、平準化、管の長寿命化を図りながら、計画的に更新を進めていきます。なお、有形固定資産減価償却率が類似団体内で高くなっていることから、施設の老朽化が進んでいることが分析されます。
全体総括
現在は、設備投資期の企業債償還が減価償却費(長期前受金控除後)を大幅に上回っているため、事業資金の確保が大きな課題となっています。このため、資本費平準化債を活用し、事業資金確保を行うほか、計画的な更新を行う必要があります。下水道施設の更新を着実に行うため、平成23年度から平成33年度までの上下水道事業の方向性を示したマスタープランを策定しています。このマスタープランの経営目標である「いつでも安心して使える止まらない水道・下水道」の達成に向け、具体的な実行計画を策定し、取り組んでいます。なお、施設規模の適正化の取組みとして、上町浄化センターを廃止し、下町浄化センターに統合する予定です。