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基準財政収入額は、消費拡大に伴う地方消費税交付金の増、平均総所得金額及び譲渡所得の増に伴う市町村民税所得割の増などにより、全体で1.7%の増額となった。基準財政需要額は、平成27年度償還費の発生に伴う臨時財政対策債償還費の増、補正係数の増による生活保護費の増などの影響により、全体で1.1%の増額となった。この結果、平成28年度の財政力指数(単年度)は前年度と同ポイントとなり、3か年平均は前年度を0.01ポイント上回る0.98となった。
歳入面では、地方消費税交付金を中心に、臨時財政対策債や地方交付税などが大きく減となり、経常一般財源全体では、昨年度より3.4%の減額となった。歳出面では、民間保育園等運営事業や障害者自立支援給付費事業などの扶助費や、物件費の増が大きく伸びたものの、それ以外の補助費や維持補修費など全体的に減となったことから、経常的経費充当一般財源は0.2%の減額となった。市税を含め、経常一般財源が大きく減となるなか、扶助費が伸び続けていることから、経常的経費充当一般財源は微減に留まり、経常収支比率は昨年度より3.1%悪化した。今後においても、経常一般財源の伸びが期待できないなか、扶助費は伸び続ける傾向が続く見込みのため、引き続き事務事業の見直しを進め、経常経費の削減に努めていく。
人件費については、給与の適正化に努めており、類似団体内で低い水準を保っているが、平成28年度は東京都に準拠した給与改定を行ったことなどから前年度と比較して決算額は増となった。また、物件費についても学童クラブの指定管理者制度の導入や、小学校給食調理の委託化を推進していることにより、前年度と比較して決算額は増となった。人件費については、退職者数の増減幅が給与総額に与える影響が大きく、物件費についても指定管理者制度の推進や家庭ごみ有料化及び戸別収集への移行に伴う委託費の増や、消費増税の影響による増も考えられることから、引き続き経費の削減に努めていく必要がある。
平成28年度において、東京都に準拠した給与改定を行ったことなどから、類似団体平均と同水準となった。今後も、東京都や都下他団体の動向も踏まえながら、引き続き給与の適正化に努めていきたい。
従前から、適正配置を基本として、組織の統廃合を行うことや、再任用職員や嘱託職員の活用・民間委託化等を積極的に進め、退職者の不補充や配置の見直しなどにより、定員の適正化に努めている。今後についても、限られた人的資源の有効活用の推進に向けた計画的な定員管理を行っていくことに努める。
人口増加に伴う公共施設の建設が続いた時期の市債の償還が終えてきたことや、市債借入額が償還元金額を上回らないこととした財政規律を設け債務残高の抑制を図ったことで、前年度に比べ公債費は減少した。また、1990年度に下水道普及率100%に達している下水道事業においても前年度に比べ公債費は減少した。今後としても、財政規律を基本としつつ債務残高の抑制を図っていく方針であるが、老朽化する公共施設等の大規模改修及び改築などに係る起債により、公債費は増加に転じることが予想される。
充当可能基金の減などにより充当可能財源等が減少したものの、地方債現在高の減などにより将来負担額は減少し、平成28年度においても将来負担比率は算定されていない。今後も単年度における市債借入額が償還元金を上回らないことを基本としつつ、余剰財源等を活用した基金現在高の確保に努めることにより健全な財政運営を図っていく。
人件費に係る経常収支比率は、前年度より0.7ポイント悪化した。主な要因としては、分子である経常経費充当一般財源等が退職金の減などにより減少した以上に、分母である経常一般財源が減少したためである。他団体との比較では、全国平均からは0.7ポイント、東京都平均からは0.6ポイント下回る低い水準にあるほか、類似団体内順位も低い水準に位置している。これらは、人口千人当たり職員数を低い水準に保つ(類似団体内においては、低い方から2番目に位置する)など経常経費が抑制されていることが主な要因と考えられる。今後も引き続き、東京都や都内他団体の動向も踏まえながら、直営事業の業務委託化などを進めることにより適正管理を行い、人件費の抑制に努めていく。
平成28年度における決算額全体にしめる物件費の割合は、学童クラブの指定管理料や、小学校給食調理業務委託の増などにより、対前年度比で1.3%増の15.3%となった。これらの増に加え、経常収支比率の分母である経常一般財源も減となったことから、物件費における経常収支比率は、対前年度比で0.9ポイント悪化し18.8%となった。今後も物件費については、指定管理者制度の推進や家庭ごみ有料化及び戸別収集への移行に伴う経費、消費増税による影響など増加傾向が続くと考えられることから、引き続き経費の削減に努めていく必要がある。
平成28年度の決算額全体にしめる扶助費の割合は、民間保育園の新設に伴う民間保育園保育実施委託費の増や障害者グループホームの増加に伴う障害者自立支援給付費の増などのほか、年金生活者等支援臨時福祉給付金の皆増などにより、対前年比で1.6%増の31.9%となった。経常収支比率は、扶助費に係る一般財源支出額が児童福祉費の伸び等により、前年比で2.3%の増となったため、1.0ポイント悪化し16.6%となった。今後も保育需要の増加や高齢化の進展に伴い扶助費一般財源負担額の増傾向が続くものと考えられる。
その他にかかる経常収支比率が類似団体を上回っている主な要因は、繰出金である。国民健康保険事業特別会計については、国保税における徴収率の改善や税率改定の影響により、収入額が増加したものの、高齢化の進行、医療の高度化などの影響により、赤字補てん的な繰出金は依然として高い水準にあるため、経費の削減や国民健康保険税の適正化を図ることなどにより、市の財政負担が軽減されるよう努める。また、後期高齢医療特別会計及び介護保険事業特別会計についても、高齢化の進行などによる医療費の増加に伴い繰出金が増えており、今後も同様の傾向が続くことが懸念される。下水道事業特別会計については、平成28年度は長寿命化事業や地方公営企業法適用事業の増等から増加となった。
補助費等にかかる経常収支比率が類似団体を大きく上回っているのは、常備消防の東京都事務の東京都負担金、一部事務組合に対する負担金、病院に対する補助が多額になっているためである。一部事務組合への負担金のうち、ごみ処理に係る経費が多くを占めている。今後は、常備消防事務に対する補助は大きく変化しない見込みであるが、ごみ処理経費は焼却施設の更新工事や共同リサイクル施設の設置に向けた負担金の増が予想される。病院についても動向を注視する必要がある。市の財政状況が厳しい中で、一部事務組合に対しても引き続き経費削減の努力を働きかけていく。
人口増加に伴う公共施設の建設が続いた時期の市債の償還が終えてきたことや、市債借入額が償還元金額を上回らないこととした財政規律を設け債務残高の抑制を図ったことにより公債費は減少したものの、それ以上に経常一般財源が減少したため、公債費に係る経常収支比率は前年度より0.2ポイント悪化し9.9%となった。公債費については、今後も市債借入額が償還元金を上回らないとした財政規律を基本とし、債務残高の抑制を図っていく。
公債費以外の経常収支比率が、前年度に対して2.9ポイント上回った要因としては、扶助費で1.0ポイント、物件費で0.9悪化したことなどによる。類似団体平均に比べると5.3ポイント上回っているが、補助費等や扶助費、繰出金の影響によるものと考えられる。
将来負担比率、実質公債費比率ともに、類似団体と比較して低い水準にある。また、新たな起債借入額を償還元金額以内とする財政規律を堅持していることにより、実質公債費比率は減少傾向にある。
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