経営の健全性・効率性について
当市の下水道事業は、平成29年度より地方公営企業法を全部適用したため、各指標は平成29年度のみとなっている。①「経常収支比率」は100%を超えているが、⑤「経費回収率」が100%を下回っていることから、下水道使用料で汚水処理費を賄えていない状況であり、今後の推移を見据えた中で適正な下水道使用料の検討をする必要がある。③「流動比率」は100%を下回るとともに、類似団体平均値等と比較して低い値となっているが、流動負債の86%は次年度(平成30年度)に償還する企業債であり、当該期間に見込まれる下水道使用料などが償還の原資となるため、支払能力には問題ないと考えられる。④「企業債残高対事業規模比率」は類似団体平均値等と比較して低い値となっているが、今後、管渠の老朽化が進み更新事業が本格化した際は、財源である企業債の増加が見込まれる。⑦「施設利用率」は汚水処理場を有していないため(流域下水道に接続)該当する数値がなく、⑥「汚水処理原価」は流域下水道による効率化により類似団体平均値等と比較して低い値となっている。⑧「水洗化率」は使用料収入の確保や適正な汚水処理のため100%に近いことが望ましく、今後も引き続き水洗化率向上のための普及活動に努めていく。
老朽化の状況について
①「有形固定資産減価償却率」は法適用時の資産評価の方法により低い値になっているが、実際は事業の開始から40年以上が経過しており、資産の老朽化が進んでいる。②「管渠老朽化率」は該当する老朽管渠がないため、当該値は0となっている。③「管渠改善率」は工事の繰越が発生したため、類似団体平均値等と比較して低い値となっている。なお、管渠の更新工事については長寿命化計画に基づき、昭和40年代から50年代初めに開発された大型団地を対象として実施している。
全体総括
今後の下水道事業の見通しとしては、大幅な収益の増加が期待できない中で、施設の老朽化が進み、更新需要が本格化することが想定される。そのような状況の中でも、下水道事業を持続可能とするため、各種指標を用いて経営の健全性・効率性の把握に努めるとともに、ストックマネジメント計画や経営戦略などに基づく計画的・効率的な事業経営の実践が重要であると考えられる。