経営の健全性・効率性について
【収益的収支比率】収益的収支については、総収益は使用料収入及び一般会計からの繰入金により総費用を賄えているが、資本的収支である地方債償還金が残っているため、収益的収支比率は約65%に留まっている。なお、計画的に起債償還金を償還することにより、収益的収支費率は上昇傾向で推移している。なお、H27年度については、例年より総事業費が少なかったため、総事業費に占める起債償還金の割合が大きくなり、例年より低い収益的収支比率となっているが、起債償還金は計画どおり償還している。【経費回収率】経費回収率については、低い水準で推移している。主な要因として、高額な汚水処理に要する費用に対して、使用料収入が少ないため、一般会計からの繰入金に依存する割合が非常に大きいことが挙げられる。【企業債残高対事業規模比率】使用料収入に対し、繰入基準外の起債現在高の割合が大きく、類似団体との比較においても高い数値となっている。主な要因としては、計画段階での人口増を見込んでいたのに対し、実際には人口が減少傾向にあるため、計画人口に到達しておらず、当初見込んだ使用料収入が得られていないことが挙げられる。なお、近年は新たな起債借入もないため、起債残高が計画的に減少している。【施設利用率】類似団体と比較し低い数値となっており、近年は低下傾向で推移している。主な要因としては、計画どおり人口が増加せず、人口減少の傾向にあり、計画人口に到達せず、使用者の人数が増えなかったため、計画当初に見込んでいた施設規模に見合った流入水量が得られていないことが挙げられる。【汚水処理原価】類似団体との比較において高い原価となっている。主な要因としては、農業集落排水処理区が中山間地に位置しているため、維持管理費が高額になること、また、当初に見込んでいた施設規模に見合った流入水量が得られず、水量1㎥あたりの維持管理費等が高額となっていることが挙げられる。【水洗化率】接続率は約84%であり、類似団体との比較においては、高くなっているが、近年は、ほぼ横ばいで推移している。少子高齢化や、市街地への転居等により人口が減少傾向にあり、転入はほとんど見込めないため、今後も横ばいで推移することが見込まれる。
老朽化の状況について
管渠改善率については、これまでに管渠の更新や修繕等は実施していないため、0%である。市原市の2処理区の農業集落排水処理施設は、それぞれ平成14年度、平成15年度に供用開始した比較的新しい施設であるため、管渠の耐用年数から判断しても更新時期には至っていない。
全体総括
本市の農業集落排水事業特別会計については、一般会計からの繰入金の割合が非常に高い状況である。計画段階では、人口増を見込んでいたのに対し、実際には人口が減少傾向にあるため、計画人口に到達しておらず、当初見込んだ使用料収入が得られていない一方で、中山間地という施設の立地条件の問題から、維持管理費が高額となっているため、その差額を一般会計からの繰入金により補填している。今後の使用料収入の見込みについては、農業集落排水処理区では、更なる人口減少が予測され、接続率も比較的高く、使用料収納率も100%に近いことから、大幅な増収は見込めない状況である。維持管理費については、施設の老朽化による修繕の増加が見込まれるが、施設の機能診断を踏まえた長期の修繕計画を策定することにより、計画的に修繕を実施し、施設を適切に維持管理することにより増加を抑制する。