経営の健全性・効率性について
(現状について)佐倉市の下水道事業は、普及促進のために施設を「建設する」時代から、建設した施設を「維持管理する」時代へと移行しています。また、佐倉市の行政区域内人口は減少傾向にあり、下水道使用料収入に影響を与える水洗便所設置済人口も減少傾向が続いていくものと見込まれます。(指標について)佐倉市の下水道事業において、昭和40年代からの住宅開発等に伴い民間の開発事業者より受贈した財産が多いという特徴があります。受贈した財産が多いことにより、現状の指標の数値について、類似団体との比較すると、企業債残高対策事業規模比率や、汚水処理原価が少ない状況にあります。なお、経費回収率については、当市における長期前受金戻入の実情(受贈財産や工事寄付金等再現性のない項目が大半を占める)を踏まえ、確実な更新財源を確保する観点から、別途佐倉市独自の経費回収率を算出し事業運営の指標としている。※参考:佐倉市独自の経費回収率67.1%(減価償却費から国県補助金に伴う長期前受金戻入のみを控除)今後、その受贈した財産を更新する際に佐倉市下水道事業が自らの資金調達により更新することになります。人口や使用料が減少する中、施設の更新のための財源を確保するために企業債を増加させることは、経営を圧迫させます。対応として、下水道会計の収益と費用のバランスを取るために、使用料等の見直しを検討中です。
老朽化の状況について
佐倉市の下水道管は、最も古いものは昭和41年度に設置されており、昭和56年度に最も多くの下水道管が設置されています。今後15年間で法定耐用年数(50年)を迎える下水道管は全体の約3割となり、下水道管の更新需要が増加していくことが見込まれます。また、東日本大震災を踏まえて施設の耐震化も必要とされます。下水道施設の更新にあたっては、平成23年度策定の佐倉市公共下水道長寿命化基本計画等に基づき、更新と耐震化を重点的に進めております。また、下水道管で汚水が集中する箇所については、硫化水素による下水道管の腐食が危惧されるため、点検と更新を進めます。
全体総括
現状の各経営指標において、類似団体との比較を行うと、問題は無いように見られますが、佐倉市で算出した独自の経費回収率では67.1%を示しており、これから始まる下水道施設の更新に備えるための対応として、下水道会計の収益と費用のバランスを取るために、使用料等の見直しを検討中です。佐倉市の下水道事業では、平成26年度から企業企業会計の適用を行い経営状況を把握しました。また、組織面では、これまで入札、契約業務、工事検査業務の市長部局との一元化(平成22年度)や上下水道組織の統合(平成26年度)を実施してきました。平成28年度には、上下水道部全体の組織再編も計画しています。今後、持続可能な企業経営が行えるよう、長期的に取り組むべき経営課題に対して、目指す将来像を設定するとともに、将来像を実現するための各種取り組み等を整理する計画として下水道ビジョンを策定中です。