経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率において,H24と比べH25に20.66ポイント減少したのは,繰上償還により地方債償還額が増えたためである。料金収入は,整備拡大と接続率の向上により増加傾向にあるが,突発的な修繕等維持管理費の増や地方債償還費の増など費用も増加傾向にあることから,当面は現状の水準で推移するものと予想され,長期的な視点に立った収益の向上と費用の削減等経営改善が必要である。比率が100%を下回っている要因は,多大な地方債償還費や繰越金を財源とする繰越事業の実施が要因である。④企業債残高対事業規模比率は,類似団体平均を下回る率で推移しており,H28全国平均も下回っていることから,引き続き投資規模の適正化と営業収益の向上を図っていくことが必要である。⑤経営回収率は,類似団体平均を上回っているが,比率が100%を下回るのは,汚水処理に係る経費が使用料で賄えていないことを示しており,接続率,徴収率の向上や料金体系の見直しが必要である。⑥汚水処理原価は,類似団体の平均を下回る水準で推移しているが,汚水処理にかかる経費の更なる削減が必要である。⑦施設利用率は,類似団体平均を上回っているが,不明水の流入が課題としてあることから対策を進めていく。⑧水洗化率は,類似団体平均を下回っており,要因として公共下水道拡張整備の途中であることが考えられ,将来的に増加が見込まれるが,広報活動や戸別訪問等の接続向上を図る取組が必要である。
老朽化の状況について
③管渠改善率は,類似団体平均を上回っている。H24は東日本大震災災害復旧工事により,改善率が高くなっている。昭和58年度より幹線管渠が整備され,30年以上経過しており,硫化水素による腐食及び老朽化が進む管路が増えていくことから,老朽化の状況を把握し,適切且つ計画的な管渠の改修・更新を進めていくことが必要である。平成30年度に,ストックマネジメント計画を策定し,管渠を含めた施設全体の改築・更新を計画的に実施し,施設の効率的な運用及び安定的な機能維持,並びに更新費の平準化を図っていく。
全体総括
公共下水道事業は,施設整備が先行する事業であり,汚水処理施設整備等に要した建設経費等の回収に長い年月を要し,収益的収支比率が100%を下回っているのも,地方債償還金が大きいことが要因である。整備途中にあることが要因として挙げられるものの,水洗化率が低い状況にあることから,接続推進を図ることで早期の収益化につなげる取組が必要であり,一方で,経費回収率の推移や人口動態等社会情勢を鑑みて料金体系の見直しを判断していく必要がある。また,公共下水道施設の老朽化による修繕・更新に伴う経費の増加が見込まれるため,老朽化の状況を把握し適切かつ計画的な改修・更新を進め,施設の長寿命化と更新経費の平準化を図り,経費の削減につなげるとともに,更新投資等に充てる財源の確保が必要である。