経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は,分母である総費用及び地方債償還金が増加傾向である。分子である総収益も増加しているため,同水準を維持しているが,収益の大半は一般会計からの繰入であるため,収支両面から経営改善に取り組む必要がある。④企業債残高対事業規模比率は,分子となる企業債現在高の全てが一般会計負担分となるため,算出されない。企業債現在高は資本費平準化債の発行額が償還額を下回ることから減少している。⑤経費回収率は,修繕費等の維持管理経費が増加する一方で,使用料収入は微増にとどまっているため,依然として低いまま推移している。農業集落排水はスケールメリットが働きにくい事業であるが,類似団体の平均と比較しても経費回収率が低いため,使用料収入の増収や計画的な修繕などによるライフサイクルコストの低減などにより改善に努める。⑥汚水処理原価も,修繕費等の維持管理経費の増加に伴い上昇している。経費回収率と同様に収支両面から経営改善を図り,汚水処理原価の減少に努める。⑦⑧施設利用率は,処理場整備が完了しているため,分母となる計画処理能力は変わらない。そのため,分子となる晴天時1日平均処理水量の増加により,利用率が上昇する。晴天時1日平均処理水量は,水洗化率と相関性があり,水洗化率の向上が施設利用率の向上に直結するため,類似団体を下回っている水洗化率の向上に努める。
老朽化の状況について
③管渠改善率については,供用開始からの経過年数が14年であり,管渠の巡回点検等でも異常がないことから,今のところ改築・更新工事を実施していないため,管渠改善率は算出されない。当面は,巡回点検等により,管渠の状況を把握し,適切な時期に長寿命化計画等を策定し,改築・更新を図る。
全体総括
農業集落排水事業は供用開始から14年が経過し,近年は処理場設備の修繕費等の維持管理経費が増加傾向である。一方の使用料収入は横ばいであるため,汚水処理原価が上振れしている。また,経費回収率は類似団体と比較して低くなっており,経営は一般会計からの繰入に依存したものとなっている。農業集落排水事業は,スケールメリットが働きにくい事業であるが,財源不足を安易に一般会計からの繰入に頼ることは,公平性の観点からも避けなければならない。今後も,処理場等の老朽化に伴い,維持管理コストが増加する見込みであるが,計画的な維持管理によるライスサイクルコストの低減,予算の平準化を図るとともに,水洗化率の向上による使用料収入の増収に努めるなど,継続して経営の健全化を推進する。