経営の健全性・効率性について
単年度収支における収支比率上昇については、施設建設当時に借り入れた起債の一部が完済したこと及び単年度における維持管理費(機械設備等の交換・修繕や汚泥処分費等)に係る経費が単年度決算において低額であったことが要因と考えられる。しかし平成24年度以降に借り入れた起債の償還据え置き期間が満了することにより償還金は増加が見込まれ、更に次年度以降における維持管理費についても現行同等もしくは同等以上に推移するものと見込まれることから、今後収支比率は現在より下降するものと推測する。この施設は供用開始後15年が経過する施設であり、今後施設診断を経て躯体及び管渠等の更新が必要と考える。このことを踏まえ単年度経費が膨大になることの無いよう計画的な施設更新を推進する。合わせて、財源の確保も重要な課題であるが、使用料等についても急激な増額にならないよう適正価格についての検討を推進する。
老朽化の状況について
平成13年度供用開始以降について処理場内及び中継施設における電気設備等のOH及び取替え交換は実施してきているが、処理施設躯体や、管渠についての更新は行っていない。平成28年度に供用開始後16年目となることから、施設及び管渠の診断を行い収支バランスを図りながら計画的な更新を推進する。
全体総括
本処理地区は世帯数約50世帯、定住者約180人に対し平成27年度調べで年間約82万人の観光客が訪れる観光地であり、この観光客に起因する汚水が本処理場における処理汚水の大半を占める処理区域である。そのため処理施設も観光客を見込んだ規模の施設となっておりその維持管理費を賄うため近隣町村より高めの使用料を設定し、不足分については一般会計繰入金により運営している。使用料算定については簡易水道使用水量をベースとして算定し井戸併用の場合は基本料金及び超過料金単価にて調整しているものの有収水量が低いことから、井戸水による汚水の流入量が多いものと思われる。このことから、有収水量の増加及び、今後の施設更新に向け使用料見直しを含む財源の確保とともに運営費の更なる削減につながる新技術の導入についても検討する。