経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、各年度で総収益に対して総費用及び地方債償還金の割合が高く、100%未満であることから常時単年度収支が赤字であることを示している。平成24年1月に使用料の統一もあったことから、平成24年度までは総収益の増加に伴い増加傾向にあった。しかし、八郎湖の指定湖沼に伴い平成22年度に天王大崎地区、平成24年度に天王湖岸・羽立地区を農業集落排水施設から公共下水道施設へ接続替えしたことから事業規模が段階的に縮小され、平成25年度には昭和豊川地区1地区のみの稼働となり、その結果収益的収支比率も減少した。汚水処理原価においては、事業規模の縮小とともに有収水量に対する汚水処理費用の割合が増加しており、天王地区が抜けたことで水洗化率が低迷し有収水量が減少している。その有収水量の減少により経費回収率では、平成27年度で汚水処理費用の約41%が使用料収入で、残りの約59%の大半を繰入金で賄っている結果となっている。施設利用率からみても最大稼働率で算出し50%を越える程度であり、施設の約半分が遊休状態となっている。高齢化等の影響により今後も水洗化率の向上が見込めない地域であることから、使用料収入についても頭打ちとなっており非常に厳しい状況である。企業債残高及び地方債償還金については、農業集落排水事業の企業債残高を特定環境保全公共下水道事業へ移管したことで減少している。しかし、それに見合う使用料収入が確保出来ていないことから、企業債残高対事業規模比率が平成24年度以降増加しており、使用料収入の確保はもちろんのこと事業継続のために抜本的な改革が必要である。
老朽化の状況について
管渠改善率については、古いもので供用開始から約14年程度しか経過しておらず、更新自体行っていないことから数値として計上されていない。
全体総括
収益的収支比率及び経費回収率が、100%未満であり財源自体も減少していることから使用料収入の底上げが必要と考えられる。使用料収入については、平成24年1月に下水道事業全体として統一(農業集落排水施設使用料のみ段階的に激変緩和措置を設け平成27年4月に統一)を図っており、最終統一年度から日が浅いことから早急に使用料を改定することは困難である。しかし、平成31年4月に法適化を予定していることから、経営状況を明確にした上で使用料改定を検討するとともに、接続替え等の抜本的な改革も視野にいれ将来見通しを立てていく必要がある。また、汚水処理原価における汚水処理費用に見合った有収水量を確保するには、水洗化率の向上が必要不可欠であり、未接続者に対して広報又は個別に下水道への接続を積極的にアピールして、水洗化率の向上を図っていく必要がある。