経営の健全性・効率性について
①②平成28年度の経常収支比率は103.56%と前年度から若干向上している。要因としては、費用において支払利息と固定資産除却費の減少があげられる。使用料収入は微増であるが、今後も引き続き水洗化率の向上を図り収入を確保していく必要がある。③流動比率は年々上昇し、類似団体と同程度となっているが、企業会計に移行してからの期間がまだ短く内部留保資金が少ないこともあり、今後も計画的に資金を確保していく必要がある。④企業債残高対事業規模比率は、平成28年度は1125.98%となり年々減少している。当該事業は設備投資の額が大きくなり、企業債に依存した経営となる傾向にあるが、整備が終了段階に近づきつつあることから、近年は企業債残高も順調に減ってきている。⑤⑥経費回収率、汚水処理原価は、いずれも類似団体平均との比較では良い状況であり、前年度から向上している。平成26年度からの流域維持管理負担金の単価見直しにより好転しているものの、今後も収入確保や経費削減のための対策を検討、実施していく必要がある。⑦汚水処理の大部分が流域下水道(県所管)の処理場で処理されていることから、施設稼働率が非常に高くなっている。⑧水洗化率は平成28年度には70.47%で、昨年度と比べて、微増となっている。類似団体と比較すると低い状態であり、使用料収入の増を図るためにも、今後も水洗化を促進する必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平成28年度は19.97%となっており、類似団体と比較すると高くなっている。現在も未普及地域において面整備を進めており、施設全体における老朽化施設の割合は現時点では高くないが、事業開始初期に整備した施設については整備から30年が経過しており、長寿命化等を検討・実施していかなければならない時期を迎えている。今後は施設の老朽化の割合が年々高くなっていくため、更に効率的な長寿命化等を検討・実施していかなければならない時期を迎えることになる。
全体総括
当市の下水道事業は平成37年度までに概成することとしている。下水道は住民が快適な生活を送るために必要不可欠なインフラであり、事業終了後も施設を適切に維持管理していく必要があるが、初期に整備した管渠施設や市単独処理場については整備後かなりの年数が経過しているため、修繕費が増加傾向にある。平成28年度は経常収支比率が100%超えとなったが、今後は人口減少や節水環境の影響により使用料収益は減少していくことを見込んでいる。また、施設の老朽化に伴い維持管理費が増えるなど、今後費用が嵩むことも想定され、将来的な収支は決して楽観できない状況である。今後は水洗化促進の取り組みによる収益の増加に努めるとともに、効率的な施設管理手法を検討・実施していくことで経常経費の更なる節減を図っていく必要がある。