経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、類似団体平均値より高く、且つ100%を上回っているものの、経常収益に占める他会計補助金の割合は高く、さらにその大部分を分流式下水道等に要する繰出金と基準外繰出金が占めていることから、市本体の財政状況等も勘案しながら、引き続き、費用や使用料のあり方について検討することが必要である。流動比率は、類似団体平均値に比べて低いものの、流動負債の大部分は企業債であり、企業債を除けば100%を超えていることから、一概に短期的な債務に比して支払能力が不足しているとは言えないものと考える。企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値を大きく上回っており、事業規模に比して債務残高が過大であることは明らかである。本事業は、汚水処理の効率性を確保する観点から、公共下水道を補完する役割を担っており、(他の指標同様)数値のある程度の悪化は致し方ない部分があるものの、引き続き、投資や使用料のあり方について検討することが必要である。経費回収率は、類似団体平均値とほぼ同程度であるものの、100%を大きく下回っていることから、費用及び使用料のあり方について、引き続き検討することが必要である。その際には、汚水処理原価が類似団体平均値を大きく上回っていることを踏まえて、浄化槽管理の効率化について重点的に検討する必要があるものと考える。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値に比べて低いものの、平成26年度に法適用した当市では、減価償却累計額、帳簿価格ともに前年度末を起点としており、数値が低く出る傾向があることに留意する必要がある。また、事業開始が平成16年度と遅いことから、現時点では法定耐用年数を超過した資産は無いものの、今後20年程度の間に、順次更新期を迎えることが予想される。
全体総括
事業開始が比較的遅いため、更新需要が本格するまでには若干の時間的猶予があるが、今後20年程度の間に更新需要が本格化することを考えれば、中長期的な視点に立って、更新投資を賄うための財源のあり方を検討する必要がある。特に、本事業の採算性の低さ、経常収支比率が100%程度に留まっていることなどを考えれば、本事業の位置付けを再確認しつつ、資産維持費の取扱いも含め、使用料のあり方を検討することが重要である。また、経費回収率、汚水処理原価は、類似団体平均値に比して悪化していることから、個別処理の性質上、方策に限界があるとは言え、汚水処理の効率化について検討を進める必要がある。