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地方財政ダッシュボード

福岡県田川市の財政状況(2019年度)

🏠田川市

地方公営企業の一覧

末端給水事業 市立病院


収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度📅2011年度📅2010年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

本市は、旧産炭地及び過疎地域であるため、人口の減少や少子高齢化の進展が著しく、基幹産業もないこと等から、財政基盤が極めて弱く、低い財政力指数が続いている。生活保護費の減少などに伴う基準財政需要額の減により、財政力指数は若干増加したものの、依然、0.4程度となっており、今後も引き続き、ジェネリック医薬品の利用促進など、生活保護費の適正化に努めていくとともに、保護受給者の自立支援について、より一層の強化を図り、次世代への連鎖を防ぐための対策を講じていく予定である。

経常収支比率の分析欄

歳入ベースでは地方交付税の増等により増加したものの、それ以上に保育所運営委託費の増などの要因により歳出が増加したため、令和元年度は前年度に比べ、1.6ポイント悪化した101.3%となっており、平成20年度以来11年ぶりに100%を超えている。この数値は、類似団体と比べても、高い値である。なお、この要因となっている生活保護費については、依然として高額で推移しており、今後も引き続き、保護受給者の自立支援について、より一層の強化を図り、次世代への連鎖を防ぐための対策を講じていく必要がある。また、第6次行政改革大綱に掲げた「民間委託導入」などの取組みにより、経常的経費の削減を図る。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

派遣職員の人件費について、一旦市で負担して、派遣先から負担金を徴収する仕組みとなったため、人件費が増加している。あわせて、物件費についても、国土調査事業費の増等に伴い増加している。

ラスパイレス指数の分析欄

令和2年4月1日現在におけるラスパイレス指数に係る前年度からの変動要因としては、給料表上の引上率の相違が主な要因として挙げられる。前年度比で指数が若干上昇しているものの、依然として類似団体の平均値を下回ることとなった。今後においても、国家公務員の給与制度の動向を注視しながら、引き続き給与制度の適正な運用に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

令和2年4月1日現在における普通会計の職員数は前年度に比べて2人の増となっており、また、令和2年1月1日現在住民基本台帳人口は前年度に比べて468人の減となったため、人口千人当たりの職員数は若干加増加しているものの、依然として類似団体の平均値を下回ることとなった。職員数の増加要因は、新中学校建設事業に係る体制強化や小中学校における臨時講師の体制強化を図ったことによるものである。今後も平成30年3月に策定した第2次定員管理計画に定める目標職員数を踏まえ、行政需要の変化に対応した適切な職員数の管理を行う予定である。

実質公債費比率の分析欄

普通会計の公債費は近年25億円前後を推移し、実質公債費比率もほぼ横ばいが続いており、令和元年度も類似団体平均を下回る値となっている。しかしながら、令和2年度以降は新中学校建設事業が本格化することなどにともなって、多額の普通建設事業が予定されており、公債費負担の増加も予想されるため、投資的事業の縮減や見直しを行うほか、引き続き、過疎対策事業債などの財源確保に努める必要がある。

将来負担比率の分析欄

令和元年度は、平成23年度以来9年続けて将来負担比率は算定されなかった。本市は、失業対策事業、改良住宅建設事業、地域改善対策事業、過疎対策事業など旧産炭・過疎地域特有の公共事業を実施してきたため、多くの地方債残高を抱えていたが、公債費負担適正化の取り組み等により年々減少し、平成23年度以後は250億円程度を推移している。(平成15年度末343億円→平成23年度末251億円→令和元年度末254億円)しかしながら、特定農業施設の維持管理のための基金など充当可能基金残高が多額(令和元年度末167億円)であるため、将来負担比率の算定には至っていない。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

類似団体平均と比較すると、人件費に係る経常収支比率は低くなっているが、その要因としてごみ処理業務や消防業務、介護保険業務など一部事務組合で行っていることが挙げられる。一部事務組合の人件費に充てる負担金や病院事業の公営企業会計の人件費に充てる繰出金といった人件費に準ずる費用を合計した場合の人口1人当たりの歳出決算額は類似団体平均と同程度であり、これらも含めた人件費関係経費全体について、抑制を図っていく必要がある。

物件費の分析欄

近年、各種業務の民間委託化などにより、物件費は増加傾向が続いている。なお、第6次行政改革大綱に掲げた「民間委託導入」を進めると、(人件費などが減少し、)物件費は増加することとなるため、今後も増加することが予想される。

扶助費の分析欄

前年度と比べると歳出ベースでは減少したものの、扶助費に係る経常収支比率は類似団体平均を大幅に上回っており、その主な要因として、多額にのぼる生活保護費が挙げられる。本市は、旧産炭地であることや地域経済の低迷などの要因により、低所得者及び失業者が多く、保護率が他団体に比べ非常に高いものとなっている。(保護率令和元年度平均57.3パーミル)今後も引き続き、生活困窮者への自立支援策などを通じ、生活保護費の削減を図る必要がある。

その他の分析欄

その他のうち、大半を占めるのは繰出金であるが、内容としては、国民健康保険、後期高齢者医療保険及び介護保険にかかるものとなっている。

補助費等の分析欄

本市では、消防組合や清掃施設組合などの一部事務組合に加え、市立病院に対する補助金(繰出金)があることにより、類似団体平均を上回ることとなっている。なお、市立病院への繰出金のうち経常的なものは、繰出額の算出方法の見直しもあって、平成24年度の7.0億円から平成27年度は10.4億円へと増加が続いていたが、経営状況改善に伴い、減少し、平成29年度以降は9億円程度を推移している。

公債費の分析欄

失業対策事業、改良住宅建設事業、地域改善対策事業、過疎対策事業など旧産炭・過疎地域特有の公共事業を実施し、多くの地方債残高を抱えることとなったため、公債費に係る経常収支比率が類似団体平均より高くなっていた。しかしながら、新規地方債の借入抑制を行ってきた結果、地方債残高は平成18年度末で320億円であったものが平成23年度以降は250億円前後を推移しており、近年は公債費に係る経常収支比率が類似団体平均を数ポイント下回る状況が続いている。

公債費以外の分析欄

公債費以外については、概ね類似団体平均の割合で推移してきたが、物件費及び補助費等の増や類似団体平均を大幅に上回っている扶助費の影響により、悪化が続いており、令和元年度も類似団体平均に比べ、9.9ポイント高い値となっている。経常収支比率の改善には、市税等の経常一般財源の増収に加え、特に扶助費の削減が重要であるが、現下の経済情勢を踏まえると、困難を伴うものとなっている。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

民生費については、類似団体平均の1.5倍と多額となっており、歳出全体の約5割を占めるに至っている。(民生費以外については、概ね類似団体平均と同水準あるいは低い値となっている。)本市は、旧産炭地であることや地域経済の低迷などにより、低所得者及び失業者が多く、生活保護費などの扶助費が多額となっていることが、この主な要因である。今後も引き続き、生活困窮者への自立支援策などを通じ、生活保護費の削減を図る必要がある。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

扶助費については、類似団体平均の概ね2倍となっている。(扶助費以外については、類似団体平均と概ね同水準あるいは低い値となっている。)本市は、旧産炭地であることや地域経済の低迷などの要因により、低所得者及び失業者が多く、保護率が他団体に比べ非常に高い(保護率:令和元年度平均57.3パーミル)ものとなっており、生活保護費も多額となっている。今後も引き続き、生活困窮者への自立支援策などを通じ、生活保護費の削減を図る必要がある。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

実質単年度収支は、年度ごとの増減はあるものの、押しなべて収支均衡の状態にあったが平成30年度以降、悪化に転じており、財政調整基金の残高も減少に転じている。今後も行政改革や市税等及び市有財産の処分などの歳入確保策を図ることにより、地方交付税の削減等外部要因の変化に耐えうる財政基盤の確立を目指していかなければならない。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

病院事業会計においては、平成22年度までの3年間資金不足が発生していたが、経営再建のため、平成22年度から平成24年度まで一般会計から各年度約4.8億円の基準外繰出しを行っていたこともあり、以後、資金不足も発生していない。また、平成25年度以降はそれまでの交付税算定基準から、繰出基準に基づく不採算経費の積上方式へと変更したことにより、基準内繰出額も平成24年度の約7.0億円から平成27年度の約10.4億円まで増加が続いていたが、経営状況の改善に伴い、減少し、平成29年度以降は9億円程度を推移している。国民健康保険特別会計においては、平成27年度に約3億円の赤字が発生したが、この赤字については、平成28年度に一般会計からの法定外繰出しにより補塡している。また、平成28年度から国民健康保険税の税率改正(引上げ)を実施したこともあり、以降は赤字が発生していない。以上の会計を除くと、各会計とも黒字が続いている。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

普通会計の公債費は近年25億円前後を推移し、実質公債費比率もほぼ横ばいが続いており、令和元年度も類似団体平均を下回る値となっている。しかしながら、令和2年度以降は新中学校建設事業が本格化するため、多額の普通建設事業が予定されており、公債費負担の増加も予想されるため、投資的事業の縮減や見直しを行うほか、引き続き、過疎対策事業債などの財源確保に努める必要がある。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

令和元年度は、平成23年度以来9年続けて将来負担比率は算定されなかった。本市は、失業対策事業、改良住宅建設事業、地域改善対策事業、過疎対策事業など旧産炭・過疎地域特有の公共事業を実施してきたため、多くの地方債残高を抱えていたが、公債費負担適正化の取り組み等により年々減少し、平成23年度以後は250億円程度を推移している。(平成15年度末343億円→平成23年度末251億円→令和元年度末254億円)しかしながら、特定農業施設の維持管理のための基金など充当可能基金残高が多額(令和元年度末167億円)であるため、将来負担比率の算定には至ってない。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)令和元年度末の基金残高(全体)は、前年度末と比べ約2億円の減となっている。この主な要因は、下記のとおり財政調整基金が約9億円減少したが、庁舎整備基金が約9億円増加したことなどに伴って、特定目的基金が約8億円増加したことによるものである。(今後の方針)下記のとおり、財源調整可能基金(財政調整基金+減債基金)については、適正規模と考えている30億円から40億円程度の水準をキープするため、計画的な財政運営に努めていきたいと考えている。また、その他特定目的基金については、各基金の設置目的(基金の使途)に応じて積立てや取崩しを行っていくこととなるが、大部分を占める「特定農業施設管理基金」は、基金の運用益で各年度の施設維持管理経費を捻出することを目指しているため、今後も同程度の残高を維持する必要がある。

財政調整基金

(増減理由)地方財政法などの規定に基づき、前年度決算剰余金の2分の1を下らない額(3.0億円)を積み立てたものの、令和元年度収支において財源不足が生じる見込みであったことから、12億円の取崩しを行っており、この結果、令和元年度末の基金残高は、前年度末と比べ約9億円の減となっている。(今後の方針)本市の人口規模や財政規模を考慮すると、財源調整可能基金(財政調整基金+減債基金)の適正規模は30億円から40億円程度と考えているが、令和元年度末の残高は約32億円と概ね適正水準であり、今後も同程度の水準を維持していきたい。しかしながら、中学校再編など多額の経費を要する事業も予定されており、計画的な財政運営を行わなければ、財源調整可能基金の過度な減少を招く恐れがある。

減債基金

(増減理由)令和元年度は基金運用益の積立てによる微増のみであり、基金残高は、前年度末と比べ、ほぼ同額である。(今後の方針)本市の人口規模や財政規模を考慮すると、財源調整可能基金(財政調整基金+減債基金)の適正規模は30億円から40億円程度と考えているが、令和元年度末の残高は約32億円と概ね適正水準であり、今後も同程度の水準を維持していきたい。しかしながら、中学校再編など多額の経費を要する事業も予定されており、計画的な財政運営を行わなければ、財源調整可能基金の過度な減少を招く恐れがある。

その他特定目的基金

(基金の使途)【特定農業施設管理基金】臨時石炭鉱害復旧法に基づく鉱害復旧事業等で設置し、市が管理する特定農業施設(可動井ぜきなど)の維持管理【浄化槽整備基金】浄化槽の整備【庁舎整備基金】田川市庁舎の整備及び田川市庁舎の整備に要する経費に充当した市債の償還(増減理由)【特定農業施設管理基金】令和元年度末の基金残高は、前年度末と比べ約3千万円の減となっている。施設の維持管理経費の財源として約8.8千万円の取崩しを行ったが、基金の運用益約5.8千万円の積立てを行っている。【浄化槽整備基金】本基金については、令和元年度については取崩を行わなかったため、基金運用益の積立てによる微増のみである。【庁舎整備基金】老朽化した市役所本庁舎の整備のため、新規で基金の造成を行った。(今後の方針)【特定農業施設管理基金】当該基金は基金運用益で各年度の維持管理経費を捻出することを目的としているため、今後も同程度の残高を維持する必要がある。【浄化槽整備基金】単独浄化槽等から合併浄化槽への早期転換を促すため、令和元年度から令和10年度までの10年間に限り、浄化槽設置費補助制度を拡充することとしており、当該事業費の財源として取崩しを行う予定である。【庁舎整備基金】今後の本庁舎の建て替え等の財源として活用する予定である。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本市の有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値を上回っており、老朽化が進んでいる。令和3年度中に公共施設等総合管理計画の改定による精緻化を図り、公共施設等の適正管理の取組を進めていく。

債務償還比率の分析欄

本市は、地方債残高が類似団体と比較して多額であるものの、充当可能基金も多額であるため、債務償還比率は全国平均、県平均及び類似団体平均よりも短くなっている。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

本市は、地方債残高が類似団体と比較して多額であるものの、充当可能基金も多額であるため、将来負担比率は算定されていないが、それまで減少傾向にあった地方債残高が27年度に増加へ転じて以降、ほぼ横ばいが続いており、今後の公債費の増大が懸念されるところである。また、有形固定資産減価償却率は、全国平均、県平均及び類似団体平均を上回っており、施設の老朽化が進んでいる。今後は、施設ごとに策定した個別施設計画をもとに、公共施設等の総合的適正管理の取組を進めていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

本市は、地方債残高が類似団体と比較して多額であるものの、充当可能基金も多額であるため、将来負担比率は算定されていない。また、実質公債費比率も類似団体平均以下で推移しているところである。しかしながら、それまで減少傾向にあった地方債残高が27年度に増加へ転じて以降、ほぼ横ばいが続いており、今後の公債費の増大が懸念されるところである。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

【道路】は、一人当たり延長が類似団体内平均値よりも短く、施設量は少ないが、有形固定資産減価償却率は全国、県内及び類似団体内の平均値より高く、老朽化が進んでいる。【橋りょう・トンネル】は、人口一人当たり有形固定資産(償却資産)額が全国、県内、類似団体の平均値より低く、有形固定資産減価償却率は全国、県内及び類似団体の平均値より低く、比較対象に比べれば老朽化が進んでいない。【公営住宅】は、有形固定資産減価償却率が類似団体平均値より低いが、一人当たり面積は類似団体内平均値の2.6倍を超えるほど多い。【認定こども園・幼稚園・保育所】は、平成25年度及び平成26年度に幼稚園2園及び保育所1園を複合施設として建替えたため、有形固定資産減価償却率が低下し、類似団体内平均値より11.5ポイント低い。【学校施設】及び【児童館】は、一人当たり面積が類似団体内平均値より小さいが、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値よりそれぞれ7.9ポイント、26.2ポイント高く、老朽化が進んでいる。【公民館】は、一人当たりの面積が類似団体平均値より少なく、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値より低い。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

全ての施設が、人口一人当たりの施設量は類似団体平均値より少ないが、有形固定資産減価償却率は類似団体平均値より高く、老朽化が進んでいる。令和3年度中に公共施設等総合管理計画の改定による精緻化を図り、公共施設等の適正管理の取組を進めていく。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

現在までに本市では、一般会計等で1,005億円、全体で1,079億円、連結で1,247億円の資産を形成しています。資産の中で大きな割合を占めるのが、市営住宅、学校等の事業用資産で、527億円(全体)、次いで道路、公園などのインフラ資産で254億円(全体)となっています。これらは、総資産の約7割(全体)を占めています。資産として計上されていますが、維持管理費や将来的に発生が見込まれる建替費用など多くの問題を抱えています。今後は、施設ごとに策定した個別施設計画をもとに、処分が可能な資産の売却や施設の統廃合等を行い資産のスリム化を進めるとともに、既存施設の長寿命化を図るなど、維持管理費用を可能な限り抑制する必要があります。一方、負債の中では、地方債(市債)が1年内償還予定地方債(翌年度償還分)を合わせると、308億円(全体)となっており、負債総額の約8割(全体、臨時財政対策債を含む)を占めており、大きな割合となっています。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

令和元年度の経常費用は、一般会計等で275億円、全体で376億円、連結で497億円です。行政サービスの利用に対する対価として、受益者が負担する使用料や手数料などの経常収益は一般会計等で31億円、全体で81億円、連結で88億円となっています。純行政コストは一般会計等で244億円、全体で292億円、連結で407億円です。この不足部分については、市税や地方交付税などの一般財源や国県等補助金で賄う必要があります。本市では、生活保護費や国民健康保険医療費などの移転費用の割合が非常に大きくなっており、全体財務書類では経常費用の約5割を占めています。また、社会資本の経年劣化等に伴う減少額を表す減価償却費は物件費の中に含まれ、その額は一般会計等で33億円、全体で35億円、連結で42億円となっています。一般会計等と全体の純行政コストを比較すると、全体は一般会計等に比べて約1.2倍に増加しています。この要因ですが、国民健康保険後期高齢者医療の各特別会計においては、支出のほとんどを占める医療費広域連合負担金が、経常費用として行政コスト計算書に計上されたためです。また、一般会計等で31億円だった経常収益が、全体では81億円に増加していますが、これは、病院の診療収入によるものです。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

形成された資産のうち、純資産の710億円(一般会計等)、712億円(全体)、765億円(連結)については、市税や国県補助金などの過去の世代に得た財源によって既に支払いが済んでいますが、負債の295億円(一般会計等)、366億円(全体)、482億円(連結)については、今後の将来世代が負担していくことになります。なお、令和元年度は、純資産が一般会計等で12億円、全体で60億円、連結で34億円減少しています。これらは、資産の増加よりも減価償却費による資産の減少額が大きかったことなどにより、純資産の減少という結果になりました。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

令和元年度の資金収支は、一般会計等で4億円増加し、全体で15億円、連結で10億円減少しています。その結果、期末の資金残高はそれぞれ一般会計等で14億円、全体で23億円、連結で37億円になっています。一般会計等と全体の業務活動収支を比較すると、全体は一般会計等に比べて約1.2倍に増加しています。この要因ですが、国民健康保険税が税収等収入に含まれること、市立病院の診療収入等が使用料及び手数料収入に含まれることにより、業務収入が増加するためです。なお、投資活動収入が一般会計等、全体、連結で全て負の値になっていますが、これは、投資活動支出の多くを占める公共施設等整備費支出の財源となる地方債等発行収入が財務活動収入に計上されることになっているため、支出とそれに対応する収入(財源)を計上する区分が異なることによるものです。また、財務活動収支は主にその年度の地方債の収支を表すものです。全体、連結では負の値になっていることから地方債残高が減少しており、一般会計等では約2億円地方債残高が増加していることが分かります。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

令和元年度までに田川市では、1,005億円の資産を形成しています。資産の中で大きな割合を占めるのが、市営住宅、学校等の事業用資産で、481億円、次いで道路、公園などのインフラ資産で254億円となっています。これらは、総資産の約7割を占めています。これら施設の老朽化の状況を表す指標である有形固定資産の減価償却率が70.9%と高く施設の老朽化が進んでいるといえます。このため、資産として計上されていますが、維持管理費や将来的に発生が見込まれる建替費用など多くの問題を抱えています。今後は、施設ごとに策定した個別施設計画をもとに、処分が可能な資産の売却や施設の統廃合等を行い資産のスリム化を進めるとともに、既存施設の長寿命化を図るなど、維持管理費用を可能な限り抑制する必要があります。なお、基金やその他債権等の金融資産を含む住民一人当たりの資産額は類似団体と比較しても概ね同水準となっております。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、70.7%となっており、類似団体と比較しても良好な状況であるといえます。なお、形成された資産のうち、純資産の710億円については、市税や国県補助金などの過去の世代に得た財源によって既に支払いが済んでいますが、負債の295億円については、今後の将来世代が負担していくことになります。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

純行政コストは(経常費用+臨時損失)-(経常収益+臨時利益)で算出されます。令和元年度の経常費用は、一般会計等で275億円です。行政サービスの利用に対する対価として、受益者が負担する使用料や手数料などの経常収益は一般会計等で31億円となっています。経常費用の中では生活保護費などの移転費用(139億円)の割合(50.5%)が大きくなっています。また、社会資本の経年劣化等に伴う減少額を表す減価償却費は物件費の中に含まれ、その額は33億円となっています。なお、住民一人当たりの行政コストは概ね類似団体と同水準です。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

負債の多くは地方債(254億円、86.1%)が占めており、いかに地方債残高をコントロールするかが負債の増加を抑制する鍵となるといえます。令和元年度末においては、類似団体との比較においても住民一人あたりの負債額は低い状況にあります。しかし、本市においては、令和元年度に再編に伴う新中学校建設事業を開始し、令和2年度から大規模な建設工事を実施しています。加えて、既存施設の老朽化が進んでおり、これら施設の建替えを含む再整備や長寿命化対策等が必要となり、その財源として地方債を活用することとなるため、今後は地方債残高の増加が見込まれるところです。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

経常収益には、歳入の大半を占める税収や国県支出金等を含まず、使用料、負担金、諸収入等の受益者が負担するような収入が主なものとなっています。一方で、経常費用には、社会保障給付費や人件費といった歳出の中で多くを占めるものが含まれるため、受益者負担比率は低い数値が算出されます。受益者負担比率の類似団体平均値との比較からもわかるように、経常費用に対する本市の受益者負担(使用料、負担金、諸収入等)の状況は高い状況にあるといえます。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,