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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

分子となる基準財政収入額は地方消費税交付金の増等により、+1.8億円、分母となる基準財政需要額は合併特例債償還費の減等により、-8.7億円であったものの、いずれも微変動であったため、前年度と同等であった。類似団体との比較では依然その平均を大きく下回っている。引き続き、公の施設の統廃合による管理経費の削減に取り組むなど歳出規模の縮減に努めるとともに、地方税の徴収強化等の取り組みを通じて自主財源の確保に努め、財政基盤の強化を図りたい。

経常収支比率の分析欄

算出の分母となる経常一般財源収入額に含まれる普通交付税に、令和4年度に算定誤りがあった影響で、令和5年度は過大交付分を減じて交付されたたこと等により、地方交付税が前年度比24億円減、また、臨時財政対策債が6.7億円減、地方税が3.3億円減により、前年度比34.6億円減の437.8億円となった。一方、分子となる経常経費充当一般財源は扶助費、補助費等が増加したものの、公債費、物件費、繰出金が減少し、前年度比19.8億円減の417.1億円となった。しかし、分子の減以上に、分母の減が大きく、前年度比2.8ポイントの上昇となった。類似団体の平均と比較しても高い水準で推移しており、財政構造の弾力性が低い結果となっている。このため、歳入面で、使用料・手数料の見直し、新たな資金調達手段の推進等を図るとともに、歳出面ではデジタル化の推進による人員配置等の効率化、公共施設等の再編・統廃合により、人件費や物件費などの経常経費の一層の削減に取り組みたい。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費が-1.8億円となった一方で、物価高騰の影響で物件費が+6.7億円と総額が増となったことに加えて、人口減もあり前年度と比較して7,078円増加しており、類似団体平均よりも高い数値となっている。合併により多くの公共施設を抱えていることや島しょ部というスケールメリットが得にくい地域を抱えている本市の特殊な地理的要因による影響も考えられるが、今後も引き続き、DXを活用した事務の効率化、組織の見直し等を行い、適正な人員配置や時間外勤務手当の抑制を図るほか、公の施設の統廃合による管理経費の削減により、人件費・物件費の削減に努めたい。

ラスパイレス指数の分析欄

ラスパイレス指数は少しずつ上昇しているが、依然として類似団体の中では最低水準にある。国に準じて給与の総合的見直しや高齢者層職員の昇給抑制などを実施しており、今後も給与の適正化に努めたい。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

平成17年1月の広域合併により職員数が増加したが、平成19年2月に第1次、平成22年3月に第2次、平成27年1月に第3次定員適正化計画を策定し、職員数の削減に取り組んできた結果、合併直後から令和2年4月時点までに569人の職員の削減を達成した。それでもなお、人口千人当たりの職員数は、本市が有する地理的特性を考慮すると単純に比較することはできないものの、類似団体平均を上回る結果となっている。段階的な定年引き上げにより、令和8年度をピークに一時的に職員数は増加するものの、令和12年度以降は現在の職員数を下回っていくことが予想されており、今後策定予定の第四次定員適正化計画に基づき、更なる定員の適正化を図っていく。

実質公債費比率の分析欄

分子となる準元利償還金を含む元利償還金が平成25年度同意の臨時財政対策債の償還終了などに伴い減少したものの、前年度の普通交付税算定誤りの影響により、単年度の実質公債費比率は前年度から3.1ポイント上昇、3か年平均では0.3ポイント低下した。依然として類似団体平均値を上回っているが、これは近年、合併に伴い必要となった施設の統合整備等を集中的に実施した結果である。なお、発行した地方債の大部分は、基準財政需要額への算入率が高いものであり、今後とも実質公債費比率が18%を超えることがないよう計画的な財政運営に努めてまいりたい。

将来負担比率の分析欄

一般会計等において償還に比して地方債の発行が抑えられたため地方債残高が減少したことや、下水道事業債残高の減などにより公営企業債等繰入見込額が減少したため、充当可能財源等が将来負担額を上回り、将来負担比率が算出されない状況が続いている。今後、大型事業や公共施設マネジメント(更新等)に伴い、基金の取崩しが必要となるなど、充当可能財源等の減少は想定されるものの、一般会計等の地方債残高及び公営企業債等繰入見込額はそれぞれ減少すると見込んでおり、将来負担比率は低い水準で推移するものと考えている。引き続き、定員適正化計画に基づく人員の削減や投資的経費の見直しなどにより、数値の上昇抑制に努めたい。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

前年度数値と比較して1.6ポイント上昇しているが、金額自体は前年比で減となっていることから、地方交付税の減による分母の経常一般財源の減少や他の性質の経費に比べて経常的な性質が強く、特定財源がないこと等が要因と考える。また、類似団体平均を上回る職員数であるため、同平均ポイントを上回っている。平成18年度、平成21年度、平成26年度にそれぞれ策定した定員適正化計画(第1次、第2次、第3次)については、いずれも計画期間を前倒しして、職員の削減目標を達成しているが、今後は定年引き上げ等も考慮しつつ、DXを活用した事務の効率化、組織の見直し等を行い、適正な人員配置、時間外勤務手当の抑制に努めるなど、人件費の抑制に努めたい。

物件費の分析欄

前年度と比較すると経常一般財源充当が6.2億円減となり、0.3ポイント低下となった。類似団体平均も3.2ポイント下回っている状況である。物件費の主要な部分を占める施設の管理経費については、平成26年度に策定、令和元年度に改定した「公の施設等評価及びあり方方針」のもと、施設の集約化や複合化による総量削減に取り組んでいるところであり、今後も施設の維持管理コストの縮減を図り、物件費の削減に努めたい。

扶助費の分析欄

前年度と比較して、障害福祉サービス費の増などにより、経常一般財源充当額も1.3億円増となったことから、前年度数値と比較して1.1ポイント上昇している。類似団体平均とほぼ同様であるが、今後も社会保障関連経費については増加することが見込まれているため、更なる適正な執行に取り組み、上昇率の抑制に努めたい。

その他の分析欄

前年度と比較すると小規模下水道特別会計の法的化に伴い同会計への繰出金が補助費等へ性質変更されたこと等により、0.2ポイント低下したものの、類似団体平均値を1.7ポイント上回っている状況である。主な要因のひとつである後期高齢者特別会計繰出金は、団塊の世代が後期高齢に加入することで今後も増加傾向が見込まれるが、健康増進による保険料の減少など上昇率の抑制に努めたい。

補助費等の分析欄

前年度と比較すると小規模下水道事業特別会計の法的化に伴い、これまでの繰出金が補助費等の性質になったこと等で、経常一般財源充当額が2.5億円増加し、1.1ポイント上昇したが、類似団体平均を2.2ポイント下回っている状況である。これまでも財政的援助団体への補助金の見直しを行うなど、経費削減に取り組んできたが、これらの取組を継続し、引き続き経費の削減に努めたい。

公債費の分析欄

前年度数値と比較して、経常一般財源充当額が10.0億円減となり、0.5ポイント減少したものの、引き続き、類似団体内で最も高くなっている。合併に伴う施設の統廃合や国体関連施設の整備、大型事業を集中して実施したことやその財源として借り入れた合併特例債について、償還期間を10年間と比較的短期に設定したことが主な要因である。なお、平成28年度から大型事業のうち、新ごみ処理施設建設事業について、償還期間を施設の管理運営業務の委託期間に合わせた20年間とするなど、単年度の元利償還金支払額が平準化するよう必要な見直しを行っている。今後も、将来負担比率など主要な指標に留意しつつ、適切な事業の実施を推進し、健全な財政運営に努めたい。

公債費以外の分析欄

前年度と比較すると3.3ポイント上昇したが、類似団体平均を2.4ポイント下回っている状況である。今後も社会保障関連経費や老朽化が進む公共施設等の維持管理経費等は増加が見込まれるため、定員の適正化や事務事業の見直し、公共施設の統廃合等に積極的に取り組み、経費の削減に努めたい。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

多くの費目で類似団体平均値より高い数値となっているが、これは平成17年1月の広域合併により、島しょ部という特殊な地理的特性を含んだ行政区域が存在することや深刻な人口減少に直面していることが主な要因である。民生費は、物価高騰に係る給付金事業の約12億円増により、前年度から大きく増となっている。障害者の医療費助成に係る経費約7.5億円を民生費で分析していることが類似団体平均を上回っている要因のひとつではないかと考えられる。衛生費は、ワクチン予防接種費用の減少等により、前年度から減となっている。障害者の医療費助成に係る経費約7.5億円を民生費で分析していることが類似団体平均を下回っている要因のひとつではないかと考えられる。商工費は、前年度における物価高騰対策事業(キャッシュレス決済プレミアム還元、飲食クーポン、価格高騰補填各種補助金等)7.8億円が皆減したことで大きく減少し、類似団体平均も下回ることとなった。土木費は、道路橋りょう補修事業の2.9億円増などの影響で前年から増となっており、類似団体平均も上回っている。公債費は、ごみ処理施設整備などの財源となっている合併特例債などの借入により、高い水準ではあるものの、償還が進み、償還が終了するものが増えたことなどから、直近は減少傾向に転じており、今後一定期間は継続するものと見込んでいる。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

人件費、物件費は、類似団体の平均と比較して高い状況にあるが、これは平成17年1月の広域合併により、職員数が増加したこと及び多くの公共施設を抱えることになったことが主な要因である。合併後、定員適正化計画による正規職員数の削減や公の施設等評価及びあり方方針に基づく施設の総量削減など、経費削減に向けた取り組みを進めており、特に正規職員数については合併直後から令和2年4月時点までに569人の職員を削減するなど、効果を上げている。島しょ部地域という特殊な地理的要因や会計年度任用職員の効率的な配置などにも留意しながら、経費の削減に努めたい。扶助費は物価高騰に係る給付金事業により前年度比で増加しているが、当該事業は類似団体でも同様であるにも関わらず、類似団体平均を超える額であり、適切な予算措置と適切な執行に努め、上昇率の抑制に努めたい。公債費は、ごみ処理施設整備などの財源となっている合併特例債などの地方債償還により、高い水準ではあるものの、直近は減少傾向に転じており、今後一定期間は継続するものと見込んでいる。積立金については、庁舎整備といった今後見込まれる建設事業等に備えて令和4年度2つの基金を創設したが、令和5年度も継続して同基金に計20億円積み立てており、一人あたりコストは減少しているものの、類似団体を上回っている。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

実質収支額については、増減はあるものの継続的に黒字を確保している。財政調整基金は令和4年度の交付税過大交付による令和5年度の減額調整に対応するため、令和4年度に積み立てた同額約13億円等を取崩した結果、0.63ポイント減少した。なお、実質単年度収支も前述の取崩し超過により減少し、赤字となったが、一時的かつ大規模な変動によるため、次年度は再び黒字化するものと考える。財政調整基金の残高は平成17年1月の広域合併以降、合併算定替終了を見越し積立ててきたためやや高い数値となっている。今後も、景気による市税減収や自然災害など、不測の事態による、厳しい財政運営を強いられる可能性があるが、財政収支の均衡を図る努力を継続し、健全な財政運営に努めたい。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

令和5年度決算においても、すべての会計で実質収支が黒字となっている。また、標準財政規模に対する実質収支額の割合は、前年度27.38%から0.19ポイント上昇し、27.57%となっている。実質収支額の割合が上昇した主な理由としては、一般会計の実質収支額が582百万円減少したものの、前年度の交付税算定誤りに伴う標準財政規模の縮小により、標準財政規模に対する実質収支額の割合は微増となっている。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

近年、合併に伴い不要となった施設の統合整備等を集中的に実施した結果、単年度の元利償還金の額は高い水準で推移しているものの、減少傾向が続いている。令和5年度については、元利償還金は下がったものの(前年度比-1,039百万円)、昨年度の普通交付税の算定誤りの影響により、算入公債費が減少(前年度比-1,957百万円)したため、当該比率の算定における分子は、前年度比1,053百万円の増加となった。なお、発行した地方債の大部分は、基準財政需要額への算入率が高いものであり、今後とも実質公債費比率が18%を超えることがないよう計画的な財政運営に努めてまいりたい。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

基準財政需要額算入見込額が減少したものの、一般会計等において償還に比して地方債の発行が抑えられたため地方債残高が減少したことや、下水道事業債残高の減などにより公営企業債等繰入見込額が減少したため、充当可能財源等が将来負担額を上回り、将来負担比率が算出されなかった。今後、大型事業や公共施設マネジメント(更新等)に伴い財政運営上、基金の取崩しが必要となるなど、充当可能財源等の減少は想定されるものの、一般会計等の地方債残高及び公営企業債等繰入見込額はそれぞれ減少すると見込んでおり、将来負担比率は低い水準で推移するものと考えている。引き続き、定員適正化計画に基づく人員の削減や投資的経費の見直しなどにより、数値の上昇抑制に努めたい。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)財政調整基金においては約1,266百万円、減債基金においては約595百万円、積立額を取崩額が上回ったものの、その他特定目的基金の積立額が取崩額より約1,922百万円上回ったことにより、基金全体としては60百万円の増となった。(今後の方針)合併後の市域において類似する公共施設の集約化や複合化を検討、実施しており、それに伴い用途廃止することとなった市有財産等の売払による収入を財政調整基金に積み立てるなど増加要因があるものの、公共施設の老朽化対策等への対応、また、ごみ処理施設整備の実施等に伴い借り入れた市債の償還財源とするため、それぞれ財政調整基金や減債基金の取り崩しを行う見込みであり、中長期的には減少傾向にある。

財政調整基金

(増減理由)R4年度に普通交付税の過大交付があったことにより、同年度において一時的な積み立てとして約1,300百万円を積み立て、R5年度の普通交付税減額調整に対応するため同額を取り崩したほか、財源調整のため、約300百万円を取り崩したことによる減少(今後の方針)・財政調整基金の残高は、約9,000百万円(標準財政規模の2割程度)を確保することを目標にしている・会計の収支状況を見ながら、安定的な財政運営ができるよう、積み立て、取り崩しを行う予定

減債基金

(増減理由)償還財源に充てるため600百万円を取り崩したことによる減少(今後の方針)・ごみ処理施設整備の実施等に伴い借り入れた市債の償還について、不足する償還財源に充てるための取り崩しを行っていくため、今後も引き続き減少傾向となる予定

その他特定目的基金

(基金の使途)・地域福祉基金:地域における高齢者等の保健福祉の増進・過疎地域持続的発展基金:過疎地域自立促進計画に基づく事業の実施・合併振興基金:市民の連帯の強化及び地域振興のための事業実施・ふるさと振興基金:今治地区広域市町村圏域の振興のための事業実施・地域振興基金:地域福祉活動の促進、快適な生活環境の形成等・スポーツ振興基金:スポーツ施設の整備及びスポーツ振興事業の実施(ふるさと納税制度活用)・庁舎整備基金:庁舎整備事業・こども未来基金:次代を担う子どもたちの健やかな成長に資するための事業の実施(増減理由)・地域福祉基金:障がい者施設管理費、福祉センター管理費への充当のため31百万円の取り崩しを行ったことによる減少・スポーツ振興基金:ふるさと納税制度を原資に200百万円積み立てた一方で、社会体育費等への充当のため239百万円の取崩しを行ったことによる減少・庁舎整備基金:将来的な庁舎整備に向けて1,000百万円積み立てを行ったことによる増加・こども未来基金:将来的な子育て支援拠点の整備を見据えて1,000百万円積み立てを行ったことによる増加(今後の方針)・個々の事業の進捗等に応じて対応する特定目的基金の取り崩しを行い、充当する予定

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2023年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

令和5年度の有形固定資産減価償却率は76.5%であり、前年度と比較して1.1ポイント上昇した。類似団体の平均61.8%と比較して14.7ポイント大きい数値となっている。これらの数値は、老朽化した資産を多く抱えていることを示しており、今後、既存施設の維持補修費の増加が想定される。こうした将来の維持管理費用に備え、公共施設の集約統合等による適正配置を進めるとともに、ライフサイクルコストを考慮した適正な維持管理に努めることで財政負担の軽減を図っていく。

債務償還比率の分析欄

令和5年度における債務償還比率は331.1%であり、前年度と比較して0.1ポイント増加した。主な要因として、経常一般財源等のうち地方交付税が減少したことが挙げられる。これは主に令和4年度に普通交付税の過大交付があった分、令和5年度に錯誤措置により減額されたためであるが、地方債残高は減少しており、地方債発行額全体としても減少し、償還額以上の借入を行わないことにより市債残高の増加は抑制されている。また、将来の財政運営を安定化させることを目的に、基金残高の確保に取り組んでおり、今後とも財政規律の維持に努めたい。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は前年度と同様に発生しておらず、有形固定資産減価償却率は既存の保有資産の老朽化により上昇した。大規模合併により多数の施設を保有することとなったことから、将来を見据え、公共施設の集約統合等による適正配置を進めてきた。既存施設を最大限活用することを基本として、単純な施設更新は行わず、財政負担を抑制してきたところであるが、必要な投資が行われず、老朽化対策が先送りされることがないよう計画的な施設管理に努めてまいりたい。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

合併に伴う施設整備等のため、近年の地方債発行額が増大した結果、単年度の元利償還金等が高い水準で推移し、実質公債費比率は類似団体平均を上回っている状況にある。しかしながら、一般会計等における地方債残高が減少したことに加え、充当可能財源として基金残高の確保を行ってきた。その結果、充当可能財源が将来負担額を上回っているため、将来負担比率は発生しておらず、類似団体平均を下回る状況となっている。今後、人口減少に伴う普通交付税の逓減も見込まれることから、引き続き、投資的経費の抑制や事業の抜本的見直しなどに取り組むことで、計画的な財政運営に努めてまいりたい。

施設類型別ストック情報分析表①(2023年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率について、施設分類別に見て総じて類似団体より高い傾向にある。中でも【道路】、【橋りょう・トンネル】などのインフラ資産及び【学校】【認定こども園・幼稚園・保育所】などで類似団体と比べて高くなっており、【道路】、【橋りょう・トンネル】に関しては、大規模合併により耐用年数に近い資産が増加したこと、【学校】【認定こども園・幼稚園・保育所】に関しては、類似団体に比べ老朽施設の更新・廃止が遅れていることが理由として挙げられる。一方で、【公営住宅】については個別施設計画に基づき順次更新、解体を行ったことで類似団体と比べて低くなっている。

施設類型別ストック情報分析表②(2023年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

【一般廃棄物処理施設】の有形固定資産減価償却率に関しては、平成29年度の新ごみ処理施設「今治市クリーンセンター」の新設により不要となった旧ごみ処理施設を、令和3年度に取壊したことにより老朽施設が減少したため類似団体に比べ低くなっている。一方で【体育館・プール】及び【保健センター・保健所】は老朽化が著しい状況にあり、今後、更新や廃止を計画的に行っていく必要がある。また、【庁舎】の有形固定資産減価償却率について、類似団体と比べて高くなっていることから、今後、庁舎の適正配置を含め抜本的な更新の検討を行う必要がある。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度から5,992百万円、2.1%減少した。金額の変動が大きいものは事業用資産やインフラ資産といった固定資産であるが、新規資産の取得価額よりも全体の減価償却額が上回っているため、固定資産全体で10,145百万円減少した。一方、負債総額は前年度から6,217百万円、8.7%の減少となった。金額の変動が最も大きいものは地方債(固定負債)であり、償還額が地方債発行額を上回り、5,106百万円減少した。全体では、資産総額は、前年度から2,640百万円、0.6%減少し、負債総額は、前年度から2,322百万円、1.5%増加した。全体では、上水道管、下水道管等のインフラ資産を計上していること等により、一般会計等に比べて資産総額が173,923百万円多くなるが、施設整備の財源として地方債(固定負債)を充当していること等から、負債総額も90,079百万円多くなっている。連結においては、資産総額は、前年度から3,025百万円、0.7%減少し、負債総額は、前年度から2,296百万円、1.5%増加した。また、愛媛県後期高齢者医療広域連合や今治地場産業振興センター等の事業用資産も計上していることから、一般会計と比べて、資産総額は176,076百万円、負債総額は90,135百万円多くなっている。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は70,087百万円となり、そのうち、補助金や社会保障給付等の移転費用が31,808百万円、人件費等の業務費用は38,279百万円となった。移転費用においては、物価上昇対策として電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援等の給付金があったことから、移転費用全体で前年度から1,012百万円、3.3%の増加となった。業務費用については、前年度から495百万円、1.3%の増加となっており、今後も施設の集約化・複合化事業に取り組むなど、公共施設等の適正管理を推進することにより、より一層の経費縮減に努める。全体では、一般会計等に比べて、水道料金等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が5,727百万円増加している一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が31,545百万円多くなり、純行政コストは38,050百万円の増加となった。連結では、一般会計等に比べて、連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が6,224百万円増加している一方、移転費用が53,989百万円多くなり、純行政コストは61,322百万円の増加となった。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源67,769百万円が純行政コスト67,507百万円を上回ったことから、本年度差額は262万円となり、純資産残高は前年度と比べ225百万円の増加となった。全体では、国民健康保険特別会計の国民健康保険税、介護保険特別会計の介護保険料等が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて、税収等は15,048百万円多くなったものの、補助金や社会保障給付費といった移転費用が31,545百万円増加したことから、本年度差額は△656百万円となり、純資産残高は前年度と比べ4,962百万円の減少となった。連結では、愛媛県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が33,974百万円多くなったものの、補助金や社会保障給付費といった移転費用等が53,989百万円増加したことから、本年度差額は△1,023百万円となり、純資産残高は前年度と比べ5,320百万円の減少となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は8,843百万円で、税収等収入が減少し、前年度から3,513百万円減少した。投資活動収支については、財政調整基金等の基金取崩収入等が増加したため、前年度から3,207百万円増加し、△2,895百万円となっている。財務活動収支については、地方債償還額が地方債発行収入を上回ったことから、△6,678百万円となっており、本年度末資金残高は4,356百万円となった。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれること、水道料金等の使用料及び手数料収入があることなどから、業務活動収支は一般会計等より3,711百万円多い12,554百万円となっている。投資活動収支では、前年度に引き続き、下水道処理場・ポンプ場に係る長寿命化や耐震化等を実施したため、△5,809百万円となっている。財務活動収支は、地方債償還額が地方債発行収入を上回ったことから、△6,898百万円となり、本年度末資金残高は13,145百万円となった。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額は、合併前に旧市町村毎に整備した公共施設があるため、保有する施設数が非合併団体よりも多く、類似団体平均を上回っている。しかし、老朽化した施設が多く、将来の更新等に係る財政負担を軽減するため、平成28年に策定した公共施設等総合管理計画に基づき、今後20年間の取組として公共施設等の集約化・複合化を進めている。有形固定資産減価償却率については、昭和40年代頃に整備された資産が多く、整備から約50年が経過して更新時期を迎えていることなどから、類似団体より高い水準にある。今後、計画的な予防保全による長寿命化を進めていく。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均をやや下回っているが、負債の大半を占めているのは、地方交付税の不足を補うために特例的に発行している臨時財政対策債である。また、市町村合併に伴い必要となった施設の整備を、合併特例債を財源として進めたことで、社会資本等形成に係る将来世代の負担の程度を示す将来世代負担比率は、一時的に類似団体平均と比べて高くなっている。なお、資金調達に当たっては、地方財政措置の有利な地方債を充てているため、実質的な将来世代の負担は軽減される見込みである。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均を上回っている。市町村合併により保有する施設数が多いことから、物件費等、特に減価償却費が類似団体と比べて住民一人当たり行政コストが高くなる要因となっていると考えられる。公共施設等の維持管理費及び老朽化に伴う大規模改修・更新費用を確保することは困難であり、すべての公共施設等を将来にわたって維持することは不可能な状況であることから、長期的な視点で適正配置に取り組む。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は類似団体平均を上回っているが、平成17年の市町村合併以降発行している合併特例債の影響が大きい。合併特例債は、元金及び支払利息の70%が地方財政措置により地方交付税として後年度に手当される有利な財源となっていることから、実質的な負担額はより小さいものとなる。業務・投資活動収支は、基金取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分が業務活動収支の黒字分を下回ったため、6,159百万円となり、類似団体平均を上回っている。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は前年度と同程度で推移した。類似団体平均値から0.9ポイント低位となっており、今後、特に経常費用のうち維持補修費の増加が見込まれることから、公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した施設の集約化・複合化や長寿命化を行うことにより、経常費用の削減に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,