経営の健全性・効率性について
①収益的収支この指標が100%未満であることから単年度収支が赤字であることを示している。前年度と比べ元利償還金が微減したものの維持管理費が増加し、分流式基準内繰入金が減少したことに伴い、前年度と比較して2.95ポイント減となっている。④企業債残高事業規模比率この指標は、類似団体と比較して低い値であるものの増加傾向にある。今後、ポンプ場や管渠等の施設更新や長寿命化対策に対する投資が見込まれることから起債も増えていくことが見込まれる。⑤経費回収率・⑥汚水処理原価経費回収率は、類似団体が100%超へと改善する傾向にあるが、有収水量の減少と維持管理費の増加から経費回収率は前年度と比較して15.13ポイント減と低くなっている。汚水処理原価は、流域公共下水道に接続していることから処理費が抑制されており、類似団体と比較して低い値であるが前年度と比較して15.34ポイント増となっている。汚水処理原価が上昇し、経費回収率が低下した要因は前年度まで計上されていた分流式下水道にかかる基準内繰入金が生じなかったことによるものが主な理由となっている。⑧水洗化率類似団体を比較して高い値であり概ね良好といえるが、下水道施設への投資の回収、公共用水域の水質保全から100%になるよう努めていかなければならない。
老朽化の状況について
①管渠改善率本市の公共下水道事業は供用開始より43年と耐用年数を経過していない管渠のため、類似団体と比較して低い水準となっている。維持管理費用が増加傾向にあることから、今後はストックマネジメント計画や経営戦略を策定し、中長期的な計画に基づく適正な更新・維持管理対策を進めていく。
全体総括
本市下水道事業の経営状況は、繰入金など使用料収入以外の収入で賄われており、使用料収入の確保やさらなる経費削減が必要な状況にある。現在、経営の健全化に向けて中長期的な視野に立った効率的な投資計画と財政計画のバランスをとった『経営戦略』を策定を行っている。次年度以降は、そのPDCAに取り組んでいく。また、本市下水道事業は平成32年度より公営企業会計を導入し、経営状況の見える化と財政マネジメントの向上を推進し、持続可能な企業経営を目指していく。