経営の健全性・効率性について
●経営の健全性について「経常収支比率」は100%以上を維持し、累積欠損もありません。また、「流動比率」も200%以上で推移し、支払能力も十分な水準にあります。「料金回収率」は、平成26年度には100%を下回っておりましたが、経費節減等の費用抑制に加え、平成28年10月の料金改定により給水収益が増加したことで、平成29年度から類似団体平均や全国平均よりも高くなっています。また、「企業債残高対給水収益比率」は、管路施設の更新・耐震化需要が増大し、企業債の新規発行も増えることから増加が見込まれています。類似団体と比較すると高い比率となっていることから、資金残高との調整を図りながら、企業債発行の抑制を行っていく必要があります。●効率性について「給水原価」は類似団体平均や全国平均よりも低く、「施設利用率」は類似団体平均や全国平均より高いことから、効率性は高いといえます。「有収率」は、類似団体平均や全国平均よりもやや低く推移しており、管路の更新・耐震化を進めるとともに先進都市の漏水防止対策を参考に漏水の減少に努め、配水量の分析を随時行い、定期的な各種水量の把握に努めるなど、供給した配水量の効率性を高める必要があります。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は、老朽化した施設の更新や耐震化事業等を進めているため、類似団体平均や全国平均よりも低くなっています。「管路経年化率」は、計画的な更新工事を行っていますが、集中的に整備してきた管路が次々に耐用年数を迎えることから、類似団体平均や全国平均と同様に悪化すると見込まれます。「管路更新率」は、当該年度の投資計画や更新工事等の状況で変動しますが、平成30年度は類似団体平均や全国平均と比べやや低い更新率となっています。今後とも、緊急度や重要度を考慮した経年化更新計画に基づき、効率的かつ効果的な更新に取り組み、管路の老朽化の抑制に努めます。
全体総括
人口減少等に伴う給水収益の減少をはじめ、老朽化した施設・管路の更新や耐震化に多額の投資を要することが予測され、経営環境は厳しさを増しつつあります。こうした中、将来にわたって安定的に事業を継続していくための中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を平成31年2月に策定しました。今後は、この経営戦略に基づき、アセットマネジメント等を活用した効率的・効果的な更新・投資を行うとともに、維持管理費等のさらなる削減など徹底した経営効率化に取り組んでいく必要があります。