経営の健全性・効率性について
本市水道事業は、市の重要政策として「節水型都市づくり」を推進することにより生じる「料金収入の減少」という課題を克服するため、H15年度以降、「組織の再編」と「アウトソーシング」を柱とする経営改革に取り組むとともに、公的補償金免除繰上償還制度の活用で高金利企業債の返済を行うなど、経営基盤の強化に努めてきました。こうした経営努力により、消費増税などによる料金転嫁を除き実質21年間、料金水準を据え置く中で、単年度実質収支は黒字を確保しています。そのため、財務関係の健全性・効率性を示す①から⑥の全てで類似団体平均よりも良好な数値を維持していますが、基幹管路の耐震化や配水支管の老朽化対策の推進に伴う企業債借入額の増加により、④「企業債残高対給水収益比率」が徐々に悪化しています。業務関係の効率性を示す⑦⑧は、類似団体平均値や全国平均値と比べると良好な水準にあります。特に、水資源に恵まれない本市は、給水圧コントロールや漏水調査等の漏水防止対策を積極的に進めたことで、「⑧有収率」は高い水準を維持しています。
老朽化の状況について
本市水道事業はS28年に供用開始し、その後S40~50年代にかけて整備した施設が多く、年々老朽化の度合いは増すため、「①有形固定資産減価償却率」は類似団体平均値を上回り、老朽化が進んでいます。その中で、「②管路経年化率」は、これまで漏水防止対策として事故多発管等の更新を積極的に実施してきたこともあり、増加傾向を示していますが、類似団体平均値と比べると低い水準となっています。また、H28年度以降、大規模地震等の際に広範囲の断水を防ぐため、大口径の基幹管路の耐震化を重点的に進めるとともに、東日本大震災で被害が多かった硬質塩化ビニル管などを耐震管へ更新してきたことで、「③管路更新率」は類似団体平均値以上となっています。
全体総括
H31年3月に策定した「水道ビジョンまつやま2019(水道事業経営戦略)」に基づき、南海トラフ地震などに備えた施設の耐震化や老朽化が進む施設の更新を着実に進めています。しかし、料金収入の減少が続く一方で、事業の推進により減価償却費や資産維持費などの費用が増加することで、経営状況は厳しさを増しています。こうしたことから、施設の統廃合やダウンサイジングなどさらなるコスト削減を図った上で、経営の健全性を確保し、将来にわたって安定的に水道水を供給していくためには、適正な水道料金水準への見直しが必要であると考えています。「安らぎと潤い、豊かな暮らしを支える水道」を将来像に、これまで築きあげてきた水道を将来世代が変わらず安心して使い続けられるよう、持続可能な事業経営を行っていきます。