経営の健全性・効率性について
本市は、平成16年度より浄水場の統廃合をはじめ施設能力の適正化を図ってきたため、施設利用率は高い。また、管路の維持に努めた結果、有収率も高い状況にあることから、施設の効率性は良好といえる。平成28年度の料金改定などにより改善した料金回収率・経常収支比率・流動比率は、令和2年度に新型コロナウイルス感染症対策として、4か月間の水道料金の基本料金を免除したことで一時的に悪化したが、令和3年度は例年の水準に戻っており、財政状況は適正な水準で推移していると言える。しかしながら、平均値を下回っており、給水原価も平均値に比べ高いことから、引き続き経営改善・経営基盤強化に努める必要があると考えている。また、阪神・淡路大震災時に発行した多額の企業債の償還に取り組んできたことなどにより、企業債残高対給水収益比率は他市に比して低くなっている。しかしながら、増加していた給水人口が平成29年度には減少に転じたことから、給水収益も減少していくことが見込まれ、企業債残高の削減を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
法定耐用年数を用いた管路経年化率からは管路の老朽化が進んでいるといえるが、アセットマネジメントを実施した結果、毎年1.25%の更新を行うことで概ね良好な状態を保つことができると判断している。近年は更新率1.25%を下回る状況が続いている中、令和2年度は業務改善・効率化に取り組んだ結果、一時的に向上したものの、新型コロナウイルス感染症の影響により工事の発注時期を調整したため、令和3年度は更新率が伸びなかった。引き続き、事業内容の見直しやAIを活用した管路の劣化診断など一層の効率化に取り組み、更新率の向上を図る。
全体総括
本市は平成27年度に経営戦略(「西宮市水道事業ビジョン2016」・「投資・財政計画」)を策定するとともに、平成28年度に料金改定を実施し、水道事業を継続していくための資金を確保した。今後も引き続き、計画的に水道施設の耐震化・老朽化対策を進めるなど、経営戦略において必要とした施策・事業を着実に実施するとともに、進捗管理を行い、さらなる費用削減と財政基盤の強化に繋がる施策を推進していくことが求められている。