経営の健全性・効率性について
黒潮町の農業集落排水事業は、使用者の減少に伴う使用料収入の減少、汚水処理サービスの継続に向けた維持管理費の増大等、事業経営は厳しい状況に置かれており、今後、その状況がますます厳しくなるのが確実となっている。何より事業収支の一つの指標である経費回収率が現状でも1より小さく、今後、この値がさらに小さくなることが予想される。使用料収入だけでは汚水処理費を賄えない状況に対し、事業の赤字分を町から補填することが続く状況である。そうした状況を踏まえ、今後とも当該事業を継続させるためには次の3つの取り組みが必要と考えられる。①使用料金の値上げ→使用者が減少する状況下で使用料収入を一定額(少なくとも平成27年度水準)確保するためには、使用料金の値上げを検討せざるを得ない。②維持管理費の抑制→日頃の保守、点検を強化することにより、大口のメンテナンスを抑える、または先延ばしを図る。③補助事業の導入→国の定める交付金を導入して、農業集落排水施設の整備又は改築に取り組む。交付金の使用により修繕費の町負担が大幅に減ると予想される。これらにより町負担額の抑制を図ることが必要である。
老朽化の状況について
全体として修繕費(設備のメンテナンス、機材の交換等)は増加傾向にあり、多額の費用を要する機器のメンテナス内容は、これまでの調査によりある程度想定している。
全体総括
事業の継続をより確かなものにするためには、事業収支においては少なくとも「修繕費を除いた汚水処理費を使用料収入で賄える状況」にすべきと考えられる。そのために利用料金の値上げは有力な案の一つであり、具体的な内容について検討を始めなければならない。ただし現実的な値上げ幅では、多額の汚水処理費を賄うことはできず、大幅な事業収支の改善も期待できないことは留意すべき点である。