収益等の状況について
本市公営宿泊施設(以下「桂浜荘」という。)は,H27年度より収益的収支比率が100%を超えているが,他会計補助金比率が急上昇している。これは,H26年度までに改築に係る起債償還を終えたものの,当該改築等により陥った資金不足を解消するため,一般会計からの繰入を実施しているためである。なお,H31年度まで一般会計から元金相当分に繰入を継続することで,平成31年度には資金不足比率は経営健全化基準の20%を下回る見込である。また,収支改善のために,以下三点に取り組む必要がある。第一に,収入増加を図るため,定員稼働率(全国平均及び類似施設の平均を上回るものの,40%程度でほぼ横ばい)を上昇させる利用者増加に向けた取組が必要である。第二に,顧客満足度を損なわない程度の適正な客単価設定の宿泊プランの開発やプラン見直しにより,稼働率と客単価のバランスをとることが必要である。第三に,支出減少を図るには,類似団体と比較して,売上高GOP比率が低く,売上高人件費比率が高いため,人件費を抑制し,効率的なサービス提供を行う必要がある。
資産等の状況について
建物部分については,H7年度に実施した改築に係る起債償還はH26年度に完了しているものの,改築後20年以上が経過している。営業収益増加のため,顧客ニーズの高い客室の洋室化やレストラン部分の改築等についても検討する必要があるが,これらの改修については多額の費用が必要であることから,収益面での効果等を検証のうえ,慎重に検討する必要がある。建物内部の設備機器については劣化が進んでおり,緊急度及び重要度の高い箇所を中心に,収益等を勘案しながら順次改修を検討する必要がある。
利用の状況について
平成29年度の市全体の宿泊利用は好調であり,宿泊需要も同様に好調である。しかし,桂浜荘については,隣接施設の高知県立坂本龍馬記念館が,新館建設工事のため,H29年4月1日から約1年間休館していたこと等が影響し,平成29年度は当施設の定員稼働率・利用者数・売上等が大きく減少となった。
全体総括
桂浜荘は本市を代表する景勝地である桂浜公園内にあり,桂浜,坂本龍馬像など,本市を代表する観光資源があることから,今後も一定の宿泊需要が見込まれる。一方,平成7年に実施した施設改築の起債償還等が要因で資金不足となり,一般会計からの繰入で資金不足比率を経営健全化基準未満にする途上である。資金不足に陥った要因を強く受け止め,今後は独立採算可能な経営を行うことが必須である。今後の設備投資に必要な経費を独立採算で確保するため,支出面での見直しや,顧客満足度を損なわない程度の適正な客単価設定の宿泊プランの開発や見直し等による収入増加を図り,収支改善に取り組む必要がある。なお,現在の経営健全化計画は,H21~H31年度を対象期間としており,当該計画の達成状況を鑑みながら,経営改善に向けた施策,事業の継続可否について慎重に検討を行っていく。