経営の健全性・効率性について
本市水道事業は、市の重要政策として「節水型都市づくり」を推進することにより生じる「料金収入の減少」という課題を克服するため、H15年度以降、「組織の再編」と「アウトソーシング」を柱とする経営改革に取り組むとともに、公的資金補償金免除繰上償還(制度の活用)で高金利企業債の返済を行うなど経営基盤の強化に努めてきました。その結果、H13年4月に水道料金を値上げして以来、消費税増などによる料金転嫁を除くと実質17年間、料金水準を据え置く中で経営努力により、黒字を維持できている。そのため、財務関係の健全性・効率性を示す①から⑥の指標は、管路等の耐震化の推進により撤去費や減価償却費が増加していることで①⑤⑥の指標でわずかに数値が悪くなったものの、全てで類似団体平均や全国平均よりも良好な水準を維持している。また、業務関係の効率性を示す⑦⑧の指標についても、類似団体平均値や全国平均値と比べると良好な水準にある。特に、50万都市としては厳しい水資源環境下に置かれている本市では、給水圧コントロールや漏水調査等の漏水防止対策を積極的に進めたことで、「⑧有収率」は高い水準を維持している。
老朽化の状況について
本市水道事業はS28年に供用開始し、その後S40~50年代にかけて整備した施設が多く、年々老朽化の度合いは増すため、「①有形固定資産減価償却率」は類似団体平均値並みで老朽化が進んでいる。その中で、本市水道の「②管路経年化率」は、これまで漏水防止対策として事故多発管等の更新を積極的に実施してきたこともあり、増加傾向を示しているが、類似団体平均値と比べると低い水準となっている。また、H28年度以降、大規模地震等の際に広域断水などを防ぐため、大口径の基幹管路の耐震化を重点的に進めるとともに、東日本大震災で被害の大きかった硬質塩化ビニル管などを耐震管へ更新してきたことで、現在の「③管路更新率」は類似団体平均値以上となっている。
全体総括
本市では、「水道ビジョン松山2009」に沿って主要施設や基幹管路の耐震化を進めているが、安全性と経済性の両面から実施時期や事業費等を検討した結果、浄水場や配水池などの主要施設を優先して耐震化してきた。現在は大口径の基幹管路の耐震化に重点的に取り組んでいるため、企業債発行額の増加や、減価償却費等の負担増により、経営状況は次第に厳しくなることが懸念される。そこで、現在、策定中の中長期の経営戦略では、将来の人口減少による料金収入の減少や今後更新時期を迎える浄水場の施設規模の検証等をしながら、収支ギャップが解消した計画を策定し、本市水道事業が将来にわたって「安らぎと潤い、豊かな暮らしを支える水道」を維持できるよう取り組んでいく。