経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は黒字であれば100%以上となる指標である。類似団体と比べて高く平成31年1月1日の水道料金改定(平成31年4月請求分から新料金)で確保した給水収益により、事業に必要な経費を確保できている状態である。②累積欠損金は生じていない。③流動比率は、当座の支払能力を示す指標で100%以上であることが必要である。類似団体を下回っているものの、常に100%を超えており、短期的な支払能力は確保できている。④企業債残高対給水収益比率は、企業債残高の規模を示す指標で、水道料金改定に伴う給水収益増加により令和元年度以降抑制できている。⑤料金回収率は、100%以上であれば健全な指標である。常に100%を上回っており、給水に必要となる費用は水道料金で回収できている。⑥給水原価は、有収水量1.当たりに係る費用で、類似団体と比べて低く、ほぼ横ばいで推移している。⑦施設利用率は、高いほど健全な指標で、平成29年度の施設能力変更に伴い大きく向上した後は概ね一定している。利用率の低下は効率的な経営の阻害要因となるため、施設更新時には規模の縮小を含む統廃合を行っている。⑧有収率は、100%に近いほど健全な指標で、全国及び類似団体より高い水準にあり、効率的な給水が行われている状況と言える。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、資産の減価償却がどの程度進んでいるのか、②管路経年化率は、法定耐用年数を超えた管路延長の割合を示す指標で、①②どちらも類似団体と比べ低い水準で推移しているものの、1990年代まで積極的な管路整備を行ってきたことから、今後も更新需要が増加すると見込んでいる。③管路更新率は、管路の更新ペースを把握できる指標で、安定給水のため水道施設の耐震性を一層向上させるといった観点から、平成31年1月1日に水道料金改定を行い、管路を含めた老朽施設の更新を積極的に行っている。
全体総括
本市の運営状況は、給水収益に関係する指標に関して相対的に高い数値となっており、給水原価も低く経常黒字を維持している。また、老朽化等の各指標と類似団体との相対的な比較をしても、良好な経営水準にあると判断される。しかしながら、将来においても水道利用者に対し、安心・安全な水道水を安定的に供給するためには、今後の水需要に応じた計画的な更新施設が必須であり、持続可能な水道事業経営を行うためには安定的な財源を確保する必要がある。