経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率歳出では、起債を満期一括償還したことに伴って地方債償還金が増加したが、歳入で、総務省の繰出基準に基づく基準内繰入れを満額実施したことによる他会計繰入金の増収がそれ以上に大きかったため、単年度収支は向上する結果となった。④企業債残高対事業規模比率使用料収入の増収に伴う営業収益の増により、企業債残高対事業規模比率はH28まで微減傾向にあった。しかし、H29から地方債残高のうち公費負担分が増加したことに伴い、企業債残高対事業規模比率が大幅に低減した。これは、分流式下水道に要する経費の算定方法が全国的に改定されたことに伴うものである。※H27実績は、決算状況調査の書式変更の都合で表示されず。※H30実績は、一般会計負担分を含めて算定した当該値となっている。除くと367.2%となり、H29と比べ使用料収入の増収に伴う営業収益の増により微減となる。⑤経費回収率H28までは、使用料収入と汚水処理費用(公費負担除く)が共に毎年同程度の増加傾向にあるため、経費回収率はほぼ横ばいとなっていた。しかし、H29から汚水処理費用(公費負担除く)が減少したことにより経費回収率が向上した。これは、分流式下水道に要する経費の算定方法が全国的に改定されたことに伴うものである。⑥汚水処理原価H28までは、有収水量よりも汚水処理費用(公費負担除く)の伸び率の方が大きかったため、汚水処理原価は増加傾向を示していた。しかし、H29から汚水処理費用(公費負担除く)が減少したことにより低減した。これは、分流式下水道に要する経費の算定方法が全国的に改定されたことに伴うものである。⑦施設利用率資料で使用されている「晴天時一日平均処理量」には流域分が含まれるため、毎年100%を超えた数値となっている。単独分の場合、H2645.53%、H2747.27%、H2843.88%、H2945.86%、H3047.91%となる。⑧水洗化率本市は下水道普及率が7割を超えたところで、毎年新たな下水道整備により供用開始区域が拡大し供用開始区域内人口が増加していることから、水洗化率の安定的な上昇を見込める状態ではない。こうした中でも未水洗化世帯への啓発活動等により水洗化率向上に努めているところである。
老朽化の状況について
昭和60年に供用開始した本市下水道事業では、法定耐用年数に達した老朽管渠は存在しないが、近い将来には単独処理場を含めた老朽化対策、更新等の検討を始める必要がある。
全体総括
平成25年度以降、収益的収入(主に下水道使用料)で公債費利子以外の収益的支出を賄えるようになり、公債費利子の償還額を下げるべく短期債へのシフト、一部繰上げ償還等のコスト削減に努めている。今後は、使用料収入の増加傾向の鈍化を見越し、引き続き下水道の普及と水洗化の向上を効率的に推し進める必要がある。また、費用を抑制するため、単独区域の流域下水道編入や既存施設の維持管理費について費用対効果を勘案しつつ、事業に支障がない範囲で見直しを図る予定である。