経営の健全性・効率性について
①総収入、総費用が共に前年比微増、微減を繰り返しているのに対して、地方債償還金は年々大幅に増加しているため、単年度収支が悪化しているという結果になっている④営業収益が毎年5%弱の伸び率で増加しているのに対して、企業債残高は約1%ずつ減少しているため、債務残高の事業規模比率は低下傾向にある(H27実績は決算状況調査の書式変更の都合で表示されず)⑤使用料収入と汚水処理費用(公費負担除く)が共に毎年同程度の増加傾向にあるため、経費回収率はほぼ横ばいとなっていたが、27年度は起債の繰り上げ償還を行ったため、汚水処理費用が増大し、その結果経費回収率が低下した。⑥分子の汚水処理費用(公費負担除く)が毎年3~7%の伸び率で増えているのに対し、分母の有収水量は前年比1~2%しか増えていないため、汚水処理原価は増加傾向を示している。汚水処理費用の増加要因として、資本費について従来の30年債の償還に加え、25年度から短期債(5年債)の元本償還が始まった上に、27年度は起債の一部を繰上げ償還したことが挙げられる。⑦資料で使用されている「晴天時一日平均処理量」には流域分が含まれるため、毎年100%を超えた数値となっている。単独のみの場合、H2344.98%、H2444.87%、H2541.37%、H2645.53%、H2747.27%となる。⑧H23年度の処理区域内人口(分母)の増え方が他年度に比べて大きく、その結果23年度で一旦水洗化率は低下したが、その後は徐々に上昇傾向にある総じて、短期債への変更による地方債償還金の一時的(今後5年ほど)増加と、節水意識の高まり等による有収水量の増加傾向の鈍化の影響で、近年は経営の健全性、効率性の悪化が見受けられる。今後5年ほどは、引き続き償還金増による想定内の経営指標の一時的悪化が予想されることから、節水が進む中でも、水洗化率を上げ有収水量を増やしていくための努力をすることで、一時的経営悪化を少しでも軽いものとする必要がある。
老朽化の状況について
本市下水道事業は、昭和60年の供用開始後30年未経過であることから、管渠等の老朽化は見受けられないが、近い将来、単独処理場を含め使用期間が30年を超える施設、管渠等について、老朽化対策、更新等の検討を始める必要がある。
全体総括
平成25年度以降、収益的収入(主に下水道使用料)で公債費利子以外の収益的支出を賄えるようになり、その後も公債費利子の償還額を下げるべく短期債へのシフト、一部繰上げ償還等コスト削減に努めている。今後は、使用料収入の増加傾向の鈍化を見越し、引き続き下水道の普及と水洗化の向上を効率的に推し進めることに併せて、使用料収入の確保のための新たな方策を検討する必要がある。また、費用を抑制するため、事業に支障がない範囲で業務の見直しを行うことに併せて、単独区域の流域下水道編入や包括委託等の検討により既存施設の維持管理費について費用対効果を勘案しつつ、見直しを図る予定である。