経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を超えており、令和2年度から令和3年度では数値が5.83ポイント増加した。この増加は、令和2年度に実施した水道基本料金免除措置の影響による。③流動比率は令和2年度から令和3年度では数値が25.19ポイント減少した。これは、令和3年度に現金・預金が減少したことによるが、類似団体平均よりは高い水準にある。④企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値より低い水準にあるが、これは、平成25年度から平成30年度まで新規借入を抑制していたためである。令和元年度からは新規借入を再開しており、今後、継続する水道施設の整備・更新の財源として新規借入を予定していることから、④は増加していく見通しである。⑤料金回収率は100%を上回り、令和2年度から令和3年度では数値が9.67ポイント増加した。この急激な増加は、令和2年度に6か月間実施した基本料金免除措置の影響による。⑥給水原価は令和2年度から令和3年度では数値が9.6円増加した。この急激な増加は、令和2年度に実施された県営水道受水費の3か月間免除の影響による。⑦施設利用率は、類似団体平均値と比較して良好であるが、給水需要の減少に合わせて施設のダウンサイジング等を行い、さらに効率的な施設利用を目指す必要がある。⑧有収率は、類似団体平均値と比較して良好な状態である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、償却対象資産の減価償却が進んでいるため、年々上昇し、類似団体平均値と比較して厳しい状況である。②管路経年化率が年々上昇し、類似団体平均値と比較して厳しい状況である。③管路更新率は類似団体平均値よりも低い状況である。これは現在のところ、管路の更新延長を伸ばし、更新率を上げるよりも、重要管路の更新を優先し、安全度を上げることを重視しているためであり、近年における本管漏水は極めて少ない状況を維持できている。なお既に整備されている管路については、高度成長期以降に市内各所で実施された大規模開発地内に布設された管路が多い。従って管路の経年化速度が管路の更新速度を上回るため、②管路経年化率の上昇傾向及び③管路更新率の停滞が続くことが予測される。
全体総括
令和3年度は、経営の健全性・効率性を示す①、④及び⑤の経営指標が令和2年度と比べ改善したが、これらは給水収益のコロナ禍における経済的支援として6か月間実施した基本料金免除措置の反動が顕著であったことによる。また老朽化の状況を示す各指標により、施設の老朽化が進行していることが確認された。令和4年度の給水収益の見通しは、水道使用者全体の水需要減少傾向が継続していることを考慮すると、コロナ禍以前の水準を下回るものと予測している。今後については、例えば水道標準プラットフォームなどの新技術を活用し、令和3年3月に策定した中期経営計画に基づく業務効率化、経営合理化の取り組みを推し進めることにより、費用の削減を図り、引き続き健全な事業運営と水道サービスの維持向上に努めていく。