経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を超えているものの、令和元年度から令和2年度では数値が6.61ポイント減少した。この急激な減少は、令和2年度に新型コロナウイルス感染症に対する経済的支援として6か月間実施した基本料金免除措置の影響による。③流動比率は令和元年度から令和2年度では数値が81.85ポイント増加した。これは、令和2年度に前受金が減少したことによる。④企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値より低い水準にあるが、これは、平成25年度から平成30年度まで新規借入を抑制していたためである。令和元年度からは新規借入を再開しており、今後も継続する水道施設の更新に対し、新規借入れを予定していることから、④は増加する見通しである。⑤料金回収率は100%を下回り、令和元年度から令和2年度では数値が9.94ポイント減少した。この急激な減少は、令和2年度に新型コロナウイルス感染症に対する経済的支援として6か月間実施した基本料金免除措置の影響による。⑥給水原価は令和元年度から令和2年度では数値が12.09円減少した。この急激な減少は、県水受水費が減少したことによる。(3か月間免除)⑦施設利用率は、類似団体平均値と比較して良好であるが、給水需要の減少に合わせて施設のダウンサイジング等を行い、さらに効率的な施設利用を目指す必要がある。⑧有収率は、類似団体平均値と比較して極めて良好な状態である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、償却対象資産の減価償却が進んでいるため、年々上昇し、類似団体平均値と比較して高くなっている。②管路経年化率が年々上昇し、類似団体平均値と比較して高くなっている。③現在、管路の更新延長を伸ばし、更新率を上げるよりも、重要管路の更新を優先し、安全度を上げることを重視しているため、管路更新率は類似団体平均値よりも低い水準で推移しているが、近年の本管漏水は極めて少ない状況である。既に整備されている管路については、高度成長期以降に市内各所で実施された大規模開発地内に布設された管路が多い。これら管路の経年化速度が更新速度を上回るため、②管路経年化率の上昇傾向及び③管路更新率の停滞が続くことが予測される。
全体総括
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症に対する経済的支援として6か月間実施した基本料金免除措置の影響が顕著となった。また、この免除措置による直接の影響がない経営の健全化・効率化の指標を分析すると、施設の老朽化が着実に進行していることが明らかとなった。令和3年度の給水収益の見通しは、水道使用者の水需要減少傾向が継続していること及び大口使用者の使用水量が減少していることを考慮すると、新型コロナウイルス感染症蔓延以前の水準に届かないものと予測する。今後については、水道標準プラットフォームなどの新技術等の活用を目指し、業務効率化による給水費用の削減に努め、引き続き健全な事業運営と水道サービスの維持増進に努める。