経営の健全性・効率性について
【経営の健全性】①経常収支比率は平均値を大きく下回っており、旧会計ベースでは4年連続100以下の赤字で、非常に厳しい経営状況となっている。⑥給水原価は平均値を下回っているが、供給単価が平均値よりかなり低いため、⑤料金回収率が100以下と平均値を大きく下回っている。また、H26年度の新会計制度移行に伴い、⑥給水原価から長期前受金戻入を控除するようになったために見かけ上は給水原価が大きく下がっているが、長期前受金戻入を控除しないH27年度の⑤の値は89.52、⑥の値は160.86であり、厳しい経営状況であることは変わっていない。企業債利息を抑えるために企業債の発行抑制等を行った結果、④企業債残高対給水収益比率は平均値より低くなっている。⑧有収率は平均値よりも悪い値を示しており、管路更新にスピードアップして取り組む必要がある。【経営の効率性】⑦施設利用率は平均値よりも高い値を示しており、現時点で施設の過剰性はなく適切な範囲内であると思われるが、一人当たり給水量の減少などに伴い年々悪化傾向にある。人口減少社会を見据えて、適切な施設規模となるように、今後は施設の統廃合やダウンサイジングを行う必要がある。③流動比率について、現金・預金等の水準の明確な基準はないが、あまりに過剰であると資金の投資・運用面から効率性が低いため、適切な範囲内に収まるように留意していく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率ともに平均値を上回っているとともに、年々値が増大している。資産の種別ごとに適切な更新ができるように姫路市水道事業経営戦略(以下「経営戦略」と言う。)に基づき計画的な建設改良投資を実施していく必要がある。③管路更新率については、平均値を大幅に下回っており、有収率悪化の原因となっているため、基幹管路耐震化に優先的に取り組むなど、経営戦略に基づき計画的に管路更新率を引き上げていく必要がある。
全体総括
本市の経営状況は類似団体と比較して非常に厳しい状況になっており、投資資金の少なさから施設の老朽化が大きな課題となっている。人口減少社会を迎えて水需要が逓減していく中、いかにして持続可能な水道事業とするかを検討するため、平成27年2月から姫路市水道事業経営懇話会を開催し、有識者・水道利用者などからの意見を踏まえ、平成27年11月に経営戦略を策定した。策定した経営戦略に基づき、平成28年4月に平均14.7%の水道料金改定を実施しており、計画的に建設改良投資を増加させていく。今後は、定期的に事業の実施状況を確認して計画内容を見直していき、経営戦略の着実な実施に努めていきたい。