経営の健全性・効率性について
平成28年度から地方公営企業法を全部適用したため、平成27年度以前の数値の計上はない。平成29年度決算では、経常収益、経常費用ともに減少しているが、収益の減少が大きく経常収支比率は、減少している。資金繰りの状況に大きな変化はなく、3月時点での流動比率の変化は小さい。企業債の償還額が大きいことが、流動比率を小さくする大きな要因となっている。本市では近年、企業債残高が毎年減少しており、企業債残高対事業規模比率は減少している。経費回収率には変化は見られない。汚水処理原価は、微増(前年度比0.15円増加)となっている。水洗化率は、新規整備による整備済人口の増や、整備済地域からの人口流出などの減少要因があるが、整備済地域への啓発など促進活動も行っており、前年度比0.15%増加となっている。市一般会計からの補助金収入により収支均衡を図っている状態である。なお、経常収支比率は100%を超えているが、資本的収支(建設改良費等)への補填により、資金の余剰は発生していない。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類似団体平均値と比較すると少ない。本市では、昭和50年代後半に下水道整備が本格化した経過があるため、開発時期によるものと思われる。平成29年度に、本市で最初に整備された管が老朽化(50年経過)を迎え、管路老朽化率は5.01%となっている。管渠改善率は類似団体平均値よりも高い数値になっている。
全体総括
本市では、生活排水100%適正処理を早期に達成するために、公共下水道事業と浄化槽整備推進事業(特定地域生活排水処理施設)の2つの手法を活用し、生活排水処理施設の整備を進めている。必要以上の投資を抑制し、効率性の高い浄化槽を併用することで、本市の生活排水対策全体の財政リスクの低減を図っている。事業の広域化に取り組んでおり、平成28年度からは関係団体との協議会を開催し、検討を進めている。平成31年度に経営戦略を策定し、今後の財源確保についても方向性を示す予定である。