経営の健全性・効率性について
⑤経費回収率が低く、④企業債残高対事業規模比率が高い要因として、浄化槽使用料収入が低いことがあげられます。この事業は、下水道による整備では採算面で劣る地域での汚水処理事業として開始した事業であり、その使用料設定も個別事業としての採算性を考慮した使用料設定としておらず、下水道使用料を基準に定めたため、経費回収率の低い使用料水準となっています。浄化槽使用料は、下水道使用者と浄化槽使用者の受益者負担が同等となるよう、浄化槽使用者のみに負担が発生する経費相当分を軽減した使用料体系としているため、下水道使用料より低い水準となっています。事業の対象となる浄化槽については、集会所や避難所など施設利用率の低い施設にも設置されているため、⑥汚水処理原価を押し上げる要因ともなっています。⑥汚水処理原価は徐々に増加しており、また、①収益的収支比率は徐々に低下していますが、これは事業推進に伴う事業債の償還額の増加が要因と考えられます。
老朽化の状況について
平成17年度事業開始のため、対策が必要な老朽化施設はありません。将来の人口増減の推移も踏まえ、計画的な再整備を行う必要があると考えます。
全体総括
本市では、生活排水100%適正処理を早期に達成するために、公共下水道事業と浄化槽整備推進事業(特定地域生活排水処理施設)の2つの手法を活用し、生活排水処理施設の整備を進めています。必要以上の投資を抑制し、効率性の高い浄化槽を併用することで、本市の生活排水対策全体の財政リスクの低減を図っています。また、事業の実施にあたっては、民間企業の能力を十分に活用して、効率的かつ効果的に浄化槽を設置し、低廉かつ良好なサービスを提供できるように「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)に基づくPFI事業として実施しています。平成28年4月には、公共下水道事業と合わせて地方公営企業法を全部適用し、さらなる経営の効率化を進めてまいります。