経営の健全性・効率性について
24年度に24%の料金改定を行い、使用料収入が増加したため、経常収支比率が100%を超え、一定規模の黒字を確保できるようになった。それに伴い、累積欠損金比率も年々減少し、27年度には累積欠損金を解消することができた。損益収支は改善しているが、過去に発生した資金不足を解消するまでには至っておらず、支払能力を示す流動比率は100%を大幅に下回った状態が続いている。厳しい資金の状況のため、新規の施設整備を最小限に抑えており、その財源として借り入れる企業債の残高は年々減少し、その結果企業債残高対事業規模比率は減少を続けている。しかし、過去の借入れが大きかったため、類似団体と比べてまだ高い状況である。汚水処理原価は、26年度から減少に転じているが、類似団体と比べて高くなっているのは、企業債残高が高く、利息の支払いが負担となっていることが原因となっていると考えられる。施設利用率が25年度から100%を大幅に超えているのは、算定の対象となる処理水量を市単独処理場のみから流域下水道も含めるように改めたためである。資金状況が厳しいことから、新たな投資を極力抑えているおり、供用開始区域の増加がほとんどないため、水洗化率は少しずつの上昇にとどまっている。
老朽化の状況について
公共下水道事業の汚水処理開始は昭和44年であるが、下水道の普及促進のため集中的に投資を行ったのは平成に入ってからであり、耐用年数の50年を超えている管渠はほとんどないことから、管渠老朽化率及び管渠改善率はごく僅かである。有形固定資産減価償却率が26年度に大幅に上昇しているが、これは地方公営企業の会計制度改正の影響によるものである。
全体総括
24年度に料金改定を行ったことにより損益収支では改善しているが、過去集中的に投資を行った際に財源として借り入れた企業債の償還が負担となっており、資金不足の状況はあまり改善していない。施設が比較的新しいため更新の必要はまだないが、集中的に整備した管渠が平成50年代にその更新時期を迎える見込みである。当面資金不足の解消が優先事項であるが、その上で投資規模の平準化を図りつつ、既存施設の状況を踏まえた効率的、計画的な施設管理をしていく必要がある。上記の点を踏まえ、28年度に経営戦略の策定を進めているところである。