経営の健全性・効率性について
23年度までは収入不足を一般会計からの繰入金で賄う状況であったが、24年度に料金改定を行ったことにより、使用料収入が増加したため、経常収支比率が100%を超え、一定規模の黒字を確保できるようになった。それに伴い、累積欠損金比率も年々減少が続いている。また、経費回収率もほぼ100%に達しており、汚水処理費用を使用料収入で賄えている。汚水処理原価が24年度から増加しているのは、料金改定により使用料収入が増加し、一般会計からの繰入金が減少した結果、使用料収入で賄うべき費用が増加したためである。損益収支は改善しているが、過去に発生した資金不足を解消するまでには至っておらず、支払能力を示す流動比率は100%を大幅に下回った状態が続いている。厳しい資金の状況のため、新規の施設整備を最小限に抑えており、その財源として借り入れる企業債の残高は年々減少し、その結果企業債残高対事業規模比率は減少を続けている。施設利用率が25年度から100%を大幅に超えているのは、算定の対象となる処理水量を市単独処理場のみから流域下水道も含めるように改めたためである。生活環境の改善と収入確保のため、下水道の普及促進に努めることにより、水洗化率は少しずつであるが年々上昇している。
老朽化の状況について
公共下水道事業の汚水処理開始は昭和44年であるが、下水道の普及促進のため集中的に投資を行ったのは平成に入ってからであり、耐用年数の50年を超えている管渠はほとんどないことから、管渠老朽化率及び管渠改善率はごく僅かである。有形固定資産減価償却率が26年度に大幅に上昇しているが、これは地方公営企業の会計制度改正の影響によるものである。
全体総括
24年度に料金改定を行ったことにより損益収支では改善しているが、過去集中的に投資を行った際に財源として借り入れた企業債の償還が負担となっており、資金不足の状況はあまり改善していない。施設が比較的新しいため更新の必要はまだないが、集中的に整備した管渠が平成50年代にその更新時期を迎える見込みである。下水道事業は、中長期的な経営の基本計画である経営戦略をまだ策定していない。まずは資金不足の解消が優先事項であるが、その上で投資規模の平準化を図りつつ、既存施設の状況を踏まえた効率的、計画的な施設管理をしていく必要がある。上記の点を踏まえ、28年度に経営戦略を策定する予定である。