経営の健全性・効率性について
平成28年4月に公営企業会計へ移行したことにより、経営状況の見える化が図れ、経営の健全度を示す経常収支比率は単年度黒字収支であるものの類似団体より下回る状況であった。これは、起債償還利子のピーク(H22年度)以降利息は減少してきているが、法適化により新たに減価償却費等の費用が増加していることから、今後は厳しい経営状態が続くものと思われる。また、経営改善のため、平成27年4月に下水道使用料の改定を実施したが、その分、一般会計繰入金が継続して基準内を下回る減額となっているため、比率に影響したものと思われる。また、平成30年度には起債元利償還金のピークを迎えることから、財源不足による支払い能力の低下等により、流動化率は類似団体の4割となっている。企業債残高のピーク(H21年度)以降は、下水道整備も終盤を迎えつつあり、事業量の減少等から、企業債残高対事業規模比率は緩やかな減少傾向にある。平成27年4月に改定率9.8%で使用料改定を実施しているが、改定による資本費回収率は47%に設定していることから、経費回収率は類似団体の2割減という状況であり、汚水処理原価についても資本費(起債元金償還金)の増加により、高額で推移している状況にあることから、今後は適正な料金改定の実施と併せて、更なる水洗化の促進を図る等、自主財源の確保に努める必要がある。また、施設利用率、水洗化率については、共に類似団体を上回っており普及が進んでいるが、更なる接続率の向上を目指し、今後も引き続き未接続世帯への啓発・指導を強化する。
老朽化の状況について
耐用年数を経過している老朽管がないため、数値は0となっているが、今後は急速に整備してきた管渠施設等の修繕・改築更新が集中して到来すると予想されるため、平成29年度予定のストックマネジメント計画(施設の計画的かつ効率的な管理運用計画)の策定を行うと共に、経営戦略による計画的な更新の実施を図る。
全体総括
経費負担の原則のもと健全な事業運営を行うため、平成27年度4月より下水道使用料の改定(平均改定率9.8%)を実施してきたが、すでに始まっている人口減少や節水型社会への移行等によりますます厳しい経営環境が予想される。安定した使用料収入の確保のため、未収金対策の強化、水洗化の普及促進に取り組むと共に、平成28年度策定の「下水道事業経営戦略」に基づき、健全経営に努める。