経営の健全性・効率性について
①経常収支比率・・・単年度の収支が黒字であることを示す100%以上になっていることが必要であり、数値的には健全な値であるが、平均値より3.25P低い状況である。②累積欠損金比率・・・累積欠損金なし。(営業収益に対する累積欠損金の状況を表す指標)③流動比率・・・短期的な債務に対する支払能力を表しており、一般的には100%以上が求められている。前年度より大幅に下がっているのは新会計制度への移行に伴うものである。④企業債残高対給水収益比率・・・給水収益に対する企業債残高の割合で低いほど健全性が高い。起債依存度を下げるため、計画的に残高を減らしており平均値より49.69P低くなっている。⑤料金回収率・・・給水にかかる費用がどの程度水道料金で賄えているかを表しており、100%以上が求められている。100%は確保できているが、平均値より3.1P低い数値を示している。⑥給水原価・・・有収水量1㎥あたりの費用を表しており低い方が良いとされている。平均値より22.02円/㎥高くなっているが費用の1/3以上を占める受水費が主因である。⑦施設利用率・・・一日配水能力に対する一日平均配水量の割合であり施設の利用状況や適正規模を判断する指標である。一般的には高い数値が望まれており、低い場合は遊休状態であることが懸念されるが、災害時に備えたバックアップ能力も考慮する必要がある。平均値より3.68P低い状態にある。⑧有収率・・・施設の稼働が収益につながっているかを判断する指標であり100%に近い数値が望まれる。H26年度は漏水事故に伴う大規模放水による影響もあり平均値より1.33%低い数値となっている。有収率の回復のために、経年管の更新とあわせて漏水個所の早期発見・早期修繕に努めている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率・・・有形固定資産のうち償却対象資産の減価償却がどの程度進んでいるかを表す指標であり、100%に近いほど法定耐用年数に近づいているといえる。平均値より高い数値は施設の老朽化が進んでいることを示しており、整備計画に基づく施設更新を進めていく。②管路経年化率・・・法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す指標となっており、本市の管路は1/4以上が法定耐用年数を超えている状況である。整備計画に基づく管路更新を進めていく。③管路更新率・・・当年度に更新した管路延長の割合を表す指標で、管路の更新ペースや状況を把握できる。更新ペースは平均値を0.06P上回っている。(※管路の法定耐用年数:40年)
全体総括
「1.経営の健全性・効率性」における③流動比率、④企業債残高対給水収益比率では平均値より良い傾向を示しているが、その他の項目では平均に至っていない。主因は受水費が大きな負担になっていること及び水需要が大幅に減ったことによるものである。水需要は節水機器の普及や意識によって漸減傾向であり、より一層のコスト縮減に努める。コストの大きな割合を占める受水費については、H27年度より受水単価の料金改定が行われており、大幅に削減できる見通しである。また、水道事業の全国的な課題である「施設の経年化」は、「2.老朽化の状況」で確認できるように、毎年度進行している状況である。管路経年化率が高いことを受けて、更新期を迎えた管路を順次更新し、有収率の向上に努める必要がある。