経営の健全性・効率性について
経常収支比率、経費回収率の指標を見ると改善傾向にあるが、下水道使用料で汚水処理費が賄えていないため他会計補助金約30億円の繰入に依存している状況である。流動比率についても数値基準は100%以上が望ましいが、100%未満であり類似団体平均値も下回っていることから1年以内に支払うべき債務に対して現金等が確保されていない経営となっている。企業債残高対事業規模比率については類似団体平均値を1,825ポイント上回っており、類似団体よりも安価な下水道使用料が影響している。施設利用率、水洗化率で類似団体平均値を下回ることから接続率向上を行うとともに施設の統合やダウンサイジングの可否について検討を行う必要がある。各指標において志登川処理区の供用開始が平成30年度からであることも影響しているが、市町村合併から今日まで下水道使用料の改定を行っていないため、三重県下でも安価な下水道使用料の設定であり、下水道使用料を基礎に算定する経営指標において悪い値となる要因である。
老朽化の状況について
下水道計画区域内の整備の遅れから拡張を優先している状況と長寿命化計画により管更正を実施しているため、管渠老朽化率が類似団体平均値を上回っており、管渠の経年化が進行し、管渠改善率は類似団体平均値を下回っている。今後、合併前の旧市町村で一斉に整備に着手した管渠の老朽化が進むことを考慮すると、計画的な管渠更新が必要である。
全体総括
平成30年度の公共下水道における汚水処理原価(1㎥当たりの汚水処理に要する費用)180.24円に対して、下水道使用料単価(1㎥当たりの下水道使用料)は118円で1㎥当たり63円が不足している。この不足する部分を他会計補助金による繰入に依存した経営となっていることから、適正な下水道使用料の見直しが必要である。整備が完了した区域においては、できるだけ早く下水道へ接続されるよう働きかけ収益の確保に努める。また、下水道整備の遅れから拡張を重視し事業を進めてきたところであるが、継続的な事業を実施するため、老朽化した施設や管渠について計画的に更新する必要がある。