経営の健全性・効率性について
下水道使用料や一般会計からの繰入金等の収益で、維持管理費や元利償還金等の費用をどの程度賄えるかを示す収益的収支比率は、近年緩やかな上昇傾向にありますが依然として100%を下回ってます。不足分は主に資本費平準化債による借入と、一般会計からの基準外繰入金により賄われています。事業規模に対する借入額の比率を表す企業債残高対事業規模比率は、類似団体及び全国平均を上回っていますが、近年の新規整備の縮小などにより、償還額が新規借入額を上回って推移していることから減少傾向にあります。下水道使用料等で汚水処理費をどの程度賄えているか示す数値である経費回収率は、緩やかな上昇傾向にあるものの依然として100%を下回っており、類似団体・全国平均から見ても25%ほど下回っています。また、有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用である汚水処理原価は、類似団体・全国平均と概ね同額であることから、下水道使用料の水準が類似団体、全国平均に比べて低い状況にあるといえます。これは、汚水処理に係る費用を下水道使用料等で賄えていない状況であり、事業を運営するためには一般会計からの繰入金による補てんがなければ運営できない状況にあります。施設利用率は類似団体・全国平均に比べ低くなっていますが、平成25年度より施設利用率が低くなっているのは、今後の新規整備などによる流入量増加を見越して、南部浄化センターで水処理棟を増設し、平成25年度より供用を開始しているためです。なお、ピーク時の施設利用率は平成26年度で約81%です。供用開始区域内人口のうち、下水道に接続している人口を示す水洗化率は、類似団体・全国平均を上回って推移していますが、現在も新規整備を進めているため、直近の供用開始地区を中心に下水道に接続されていない家屋が一定数あります。この指数が高いほど、整備した管渠等が有効に利用されていることになることから、今後も未接続家屋に対する普及促進を進める必要があります。
老朽化の状況について
春日井市公共下水道事業は昭和43年から供用開始しており、法定耐用年数である50年を超えた管渠はありませんが、今後は順次法定耐用年数を迎えることから、管渠の点検及び更新等を計画的に進める必要があります。
全体総括
経費回収率が100%を大きく下回っており、不足分は一般会計からの繰入金により賄われています。これは、税金により賄われていることになり、下水道が使用できない人も負担していることになるため、収益の拡大及び費用の縮減の取り組みが必要となります。現在行っている取り組みは、収益の拡大については、下水道未接続家屋に対する普及促進を進めています。また、費用の縮減では、企業債の償還による支払利息の削減、処理場施設等の長寿命化計画を策定し、計画的な施設の更新、修繕を行っています。また、施設利用率が類似団体等と比べて低いことから、ピーク時でも安定的に処理ができる範囲で、下水道未接続者への普及促進に加え、未整備地区の整備を計画的に進め施設利用率を上昇させる必要があります。なお、春日井市公共下水道事業は地方公営企業法非適用で運営されていますが、計画的な経営基盤の強化と財政マネジメントの向上等を的確におこなうため、平成28年度より地方公営企業法の適用を予定しています。