経営の健全性・効率性について
地方公営企業会計制度の見直しにより、平成26年度以降の経営指標に大幅な変動が生じている。①経常収支比率経常収益では給水人口の増に伴い水道料金収入が増加した。経常費用では減価償却費が増加したものの、動力費、維持管理に係る工事請負費等が減少した。これらの理由により、経常収支比率は前年度と比較し上昇(+2.99)した。指標の基準となる100%は維持しているものの今後も健全経営に努める必要がある。③流動比率基幹浄水場の更新工事費に係る未払金の減少により、流動負債が減少したが、同時に現金預金も減少し、流動資産が減少した。平成28年度も引き続いて基幹浄水場の更新が行われたが、工事費が平成27年度ほど大きくなかったため、未払金の増加が抑えられ、結果として、流動比率は前年度と比較し上昇(+40.49)した。当更新事業は平成29年度に完成予定であり、更新終了後は短期的な債務に対する支払能力を高めていく必要がある。⑤料金回収率動力費及び退職給付費の減少により、給水原価が抑えられ、料金回収率は前年度と比較し上昇(+4.64)した。指標の基準である100%以上は維持しているものの、今後も健全な経営に努める必要がある。
老朽化の状況について
老朽管路の更新に当たっては、基幹管路である大口径管の更新を優先しているため、③管路更新率が類似団体平均を若干下回った。今後は、計画的に耐震化工事を進めていく必要がある。一方、①有形固定資産減価償却率が類似団体平均を下回っていることは、比較的新しい資産が多いことを表しており、全体としては老朽化対策が進んでいると判断することができる。ただし、管路については、②管路経年化率は類似団体平均を若干上回っており、未だ多くの老朽管路が残っていることを表している。引き続き更新事業を推進する必要がある。
全体総括
経営の健全性・効率性に係る指標については、いずれも類似団体平均を上回る値を示している。一方、施設面においては、水道管路等の老朽化施設の更新のほか、地震対策のため管路耐震化も推進する必要がある。健全経営を維持しつつ、これら事業を実施するため、将来の更新計画や財政支出を明らかにするとともに、長期的な視野に立った適正かつ効率的な水道事業の運営に取り組んでいく必要がある。経営戦略については現在検討中であり、平成32年度までに策定する予定である。